だいぶ前、仏画を持ってこられて開眼を頼むとのこと。
加納芳崖の悲母観世音の写しでした。
「これはお開眼できません」
「なぜですか?印刷だから・・・?」
印刷は開眼できないなどということはありません。
お御影札だって多く印刷です。
問題はこちらに観音様の目が向いていない。
観音様の目は下にいる小さな童子と向き合っている。
だが絵を見るものには応えていない。
「開眼」というくらいでそこが一番大事です。
もちろん、加納芳崖画伯の観音像は絵画としては極めて素晴らしいものです。
ですが礼拝像ではない。
明治時代の写実主義の時代にはそういうものが多い。
彫刻でも走っていく韋駄天を横から見た彫刻。
これなども礼拝像ではなく芸術品でしょう。
向き合うことが大事なのです。