私が大学生のころお家族である宿にと真立ったら息苦しくて目を開けたが体が動かない。ふと見ると布団の上に座布団のような四角いものが載っている。
それで動かないようだ。そればかりか声も全く出ない。
そうだ、こんな時こそ。
何度か不動真言を唱えて頑張ったらやっと動いた。ふと見ると座布団のようなものは消えていた。
これは寝ぼけていたのだと言えばそうかもしれないが関東に帰って師匠にそんな話をすると、師匠は真顔で
「それは旅館の因縁や。そういうのはついては来れないから心配要らない」といわれた。
そう言えば妖怪というのは宿でも山でも川でも部屋でも出るところが決まっている。
いわゆるフィールドに条件つけられた存在だ。
まあ地縛霊に近い性質を持っているようだ。
つまり土地や地域に縛られている存在だ。
妖怪とは言わないが「座敷童」などの神霊も近い類だ。
たとえその場所から出られても威力は格段に落ちる。
よくある場所で撮影したら奇妙なもんが撮れているなどというのもまず家にはついてはこない。
なにかしら余計なものを持ち帰っていれば別だが・・・よく石ころなどむやみに持ってきていいことはない。
霊写真で変なものが写っていてそのあと禍いが来たなどというのはその写ったものの障碍ではなく大概は危険を知らせていたのだ。
霊写真はほとんど無害だ。
これに対して魔や人の邪念というのは霊写真には映らない。
それでいて威力では場を得た妖怪には到底比べるべきもないが、それでもずっとついてくるからこっちの方がはるかに始末に悪い。