金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

軍持と賢瓶 十一面観音の姿に想う

十一面観音の持ち物あるいは三昧耶形である軍持はクンディという言葉の音写で壺を意味するが、日本では口のついた水瓶をいう。

仏具としてはこれは戒を顧みる布薩会で使う。

十一面観音は左手に軍持と蓮花をもち、右は施無畏の手にして数珠を持ちという。

軍持は花瓶ではないので蓮華をさすのはおかしい。

また施無畏とは掌を外に向けて建てる印相で数珠を持つことはできない。

大方の尊像は右手を下げて数珠を持つ。

しかるに日本の十一面観音のほとんどが二臂であって上記のような奇怪なことになっている。うちの本尊も同じだ。

本来はどう考えても四臂が正しい。

例えばチベットのエーカダシャムカ(十一面観音)は八臂だ。二臂はない。

まあ、もう平安鎌倉からの誤解だが、まれに四臂像もある。

三峯神社の本地はそうなっているがあれが正しいと思う。