金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

三十七人呪詛の大行者

これは私の話ではなく私の法友の話。

もうかれこれ30年以上昔だがうわさで三十七人を呪詛して殺した大行者というのがいて、ある人が呪われたという。

それで何とかしてほしいという話を法友に頼んできた。

法友はなんだか心当たりがあったそうだ。

 

それでどうしたかというと、法友はその行者の家まで尋ねて行った。

で、尋ねてみるとあちこちの柱に人型が釘で刺してあったらしい。

「なるほど…」と思って「あなた、それね。やめてください。」という話をしたそうだ。

すると相手は意外にも「わかりました。やめます。」といったそうだ。

それでおしまい。

 

なんだか拍子抜けする話と思うだろうが、いわゆる呪詛というものはばれればおしまいで術が破けるものが多い。だからばれた段階でおしまい。

この術者はそれを良く知っていたのだろう。

悪くすると式が帰ってきて自分の身に当たる。

 

そこは明らかな敵対行動である戦争などでも使われた密教の降伏法とは違う。

これも行えば行者も大きくダメージを受けることは同じだ。勝っても負けてもそこは同じで業報は残る。

かの元寇を祈り伏せたという叡尊大徳も「敵は死ね!」とは祈っていない。

願文には大風を吹かせて彼らを故国へ帰すよう書いてあるそうだ。

いささか風の規模が大きすぎたようだが・・・

 

私の修行時代、信徒さんに猫の怨霊を送ってきたのを、師匠が破って、帰って行った猫の怨が当たり相手方は敗毒症状となって、錯乱状況のまま死んだという話を姉弟子から聞いた。

この時も攻撃呪術は使わない。猫の霊が掛けられている呪縛を丁寧に解いて返しただけだ。

攻撃するとミサイルの打ち合いみたいな消耗戦になってしまう。

「なぜわかった!?」と呪詛のことを言われて相手は思わず口にしたそうである。

よほど驚いたのだろう。そのあと病に倒れたそうだ。

こういうことはするもんじゃない。

因みに式としての猫は犬よりはるかに怖いと聞かされている。