金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

「莫妄想」

元の大軍の迎え撃つ弘安の役。世に言う「蒙古襲来」「元寇」だ。

思い悩む執権北条時宗に南宋から来た無学祖元禅師が与えた掛物が「莫煩悩」。

これで時宗は腹を決めた。

時代も国も違うが「アルマダの戦い」でスペインの無敵艦隊を破ったエリザベス一世も絶体絶命に追い込まれ勝利した人だ。

スペインの海軍は当時は世界最強、「無敵艦隊」といわれた。

おそらくエリザベス一世も大難に「莫煩悩」で臨んだ人に違いない。

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「莫煩悩」とは教にして教に非ず。禅師は具体的にこれこれせよと言ったわけではない。

何かを得るのではなく、ただ要らぬものや余計なものは去れということだ。

元は前回の敗戦を立て直して前以上の大軍団で攻めてくる。この期に及んで悩むことはもはや無意味だ。悩みは役に立たない。悩まずに向き合う。

その分別が「莫煩悩」だろう。

 

禅語「莫妄想」も同じだ。

 

大乗仏教でいう煩悩は上座部でいうような「欲望」ではなく「迷い」の意味。

色々な迷いに対してはこの言葉のみだ。

必要のないおのれ自身の無駄な考えや想いにこそつきつけるべき言葉。

 

仕事にも日常にも役に立つ言葉だ。

 

小さな習慣にすぎないが私は夢の中でも唱えている。

「この夢は変だな。この展開って自分の変な部分、まちがっている部分の現れだ」と思えば「莫妄想」で止めている。

 

霊障つまり、見える聞こえるで困っている方は「莫妄想」という言葉を心に留め置き、

それを相手にしないことが大事だ。単にと止めておくのでなく否定する。

それを相手にしてどうこうしようとするのではなく、それを要らぬものとして捨てる。

 

人は問題だと思いながらも続けている愚かな行為の裏には「利得」がある。

そいつを吟味せず「莫妄想」で丸ごと捨てる。

心の大掃除だ。