金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

韓国映画「破墓」

つい最近まで韓国では陰宅風水が盛んで、人の土地でも構わず亡者を埋葬したりした歴史があるそうだ。

最近それは禁止となったと聞く。

「陰宅」とはつまり住居である「陽宅」の対語で墓所のことである。

要するに死んではいる家だ。

それでその墓の立つ埋葬地が悪いと子孫の繁栄に障るという考えだ。

で、悪いとわかると対策的に改葬をする。

それが一種の開運法だ。

この物語は子供の持病をもとにして先祖の改葬を考える資産家の話に乗って改葬に挑む葬儀屋、風水師、女性呪術家と霊媒たちの話

彼らはかなりの困難を覚悟して協力して事に当たるが・・・

それはpamyo-movie.jp

私には韓国呪術や葬儀の習慣が興味深い映画だ。

日本語でしゃべる場面もあるがなかなか上手だ。

前半は実に興味深い。

 

後半からは亡霊がモンスター化し暴れまわるなどはあまりいただけないが・・・・

霊体が実体化して暴れることは絶対にありえない。

実体できないからこそ、依り代がいるのだから・・・

だからそうなると急速に見てて興冷してくる。

 

まあ、もとよりドラマでしかないが。だからホラー映画で怖いと思うものはあまりない。

笑ってしまうようなものも少なくない。怖くもなんともない。

「あやかし」は実体化しないからこそ怖いのだ。

そこがわかっていないでホラーつくるやつは多いね。

霊の恐ろしさは、ある意味、目に見えないで進行する伝染病のような恐ろしさなのだ。

 

それでもこれほど韓国社会の死んだ者をめぐる呪術が描かれた作品はないだろう。

劇中「馬の血」が重要な呪術アイテムだが、そこは仏教徒は基本的に使わないものだ。

儒教、道教、仏教そしてキリスト教までシンクレティズムの強い韓国民族宗教の姿が描かれている。

だが、その中心思想はやはり陰陽五行思想のようである。決め手は陰陽五行だった。

 

全体に「日本の鬼(死霊)は見境なく人を襲うのだ」と言ったお定まりの「反日的要素」もたっぷり入った映画だ。(笑)