映画「八犬伝」を見て来ました。
馬琴の生涯と八犬伝の物語が同時並行で展開する面白い映画でした。
八犬伝を作者の滝沢馬琴を抜きに語りたくなかったのでしょうね。この映画は。
もっと言うなら八犬伝をかいた馬琴という人をこそえがきたかったんでしょうね。
何せ「南総里見八犬伝」は26年にもわたって彼が書いた大長編でありほかに我が国に類がない。
彼が描きたかったのは「正義は勝つ!」という彼の信念。
それは正義の八剣士の生まれながらに持つ不思議な球に浮き出た 仁 義 礼 智 忠 信 孝 悌 の世界
少年ジャンプの理念みたい。(笑)
映画のなか「東海道四谷怪談」を書いた鶴屋南北との対談は面白い。
南北は不条理や矛盾こそを表現したかった。
鶴屋南北は昭和でいうエロ グロ ナンセンスだ。
それを忠臣蔵の秘話として挿入した。
忠臣蔵をこよなく愛する馬琴はつじつまが合わないと怒る。
南北はつじつまなどあう訳ないのが世の中という。
そこは両者はまるで違う。
もし映画を見たらそこは注目して見ていただいたらいかがかと思います。
後、余談だが寺島しのぶさんが馬琴、役所広司さんの口やかましい下世話な女房役だが、老け役がイタについていたというより、失礼ながら実際に老けたかなと思った。
え、しのぶさん?と思った。
御年51歳、まあ、無理もないかな。
彼女がいい女優さんであることはいささかも変わらないが。
馬琴の正義の戯作の陰で、自分のありかたを貫き家計も顧みないその一途な生き方に泣く女房。
皮肉にも南北の指摘したつじつまあわない世界は馬琴のすぐそばにあった。
世の中で偉い人だとか、立派な人物だとほめそやされている人にありがちな盲点だ。