五十二位の修行のラスト、菩薩十地の修行の上に等覚、妙覚があり、十一面観音とは慈悲相三面 口牙相三面 瞋怒相三面 暴悪大笑相の十面を菩薩の十地になぞらえ、本面を等覚、頂上仏面を妙覚とします。
故にこの観音は当院本尊であるのみならず端的に御身に菩薩十地の行を表す尊ですから、これに対し当院にて三千回の礼拝をせしめ、三阿僧祇劫の菩薩修行の初門とします。
「南無十一面観音菩薩神変者」と言って五体投地するのがそれでこれを終えれば当院では護身法を伝授しております。
そののち、准胝独部法10万遍を満じ、法華経真読全巻 訓読全巻を終え、自我偈21枚を書写して在家のする顕密二教の加行は一応終わりです。
真読は誦 訓読は読 解説 写経は書写 これらを授持として、略して法華五種の修行に当てています。
この菩薩宝号
「南無十一面観音菩薩神変者」は越の泰澄上人の故事から引いております。
泰澄上人は白山権現の感得者で、ちなみに白山権現は十一面観音の化身。常陸の国真壁郡に存するルーツ羽田家の氏神でもあります。
修験道の三僧祇は三阿僧祇劫の菩薩行を終わった謂いであって、実に大変な意味合いのことです。