金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

一粒のライチは三つの火(一颗荔枝三把火)松江堂薬局のブログ

 

楊貴妃が好きだったライチ。高級中華レストランに行っても最後のデザートに氷に載って一粒でてきます。

一骑红尘妃子笑 无人知是荔枝来(唐代の詩人「杜牧」)

妃子とは楊貴妃のこと。玄宋皇帝が楊貴妃のために四川から長安の都まで早馬でライチを運ばせ、ライチが届いたことを知った楊貴妃がほほ笑んだという詩です。ゆえにライチのことを「貴妃笑」とも言います。ライチは保存が難しく一日で皮が黒く変色し5日経つともう食べられません。

どこから長安までライチを運んだのかは謎でした。広東からでは遠すぎる。いろいろ論議され四川からということで落ち着きました。

非常にジューシーで美味しいのですが温性でたくさん食べると顔がのぼせ、口内炎になり、皮膚炎や便秘になります。

 

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ライチは血を増やす作用があります

 

中医学では「上火」といいますがライチは「上火」しやすいのです。5個以上食べると顔がのぼせイライラしてきます。

それを注意する言葉が「一颗荔枝三把火」なんです。

ライチの殻は「月子水」になります。これは産後の養生なのですが、殻には産後の貧血によるほてりをとる作用があるのです。

同じ物なのに部位により作用が異なるのですね。

卵も黄身は血を増やし白身は清熱、炎症を止めます。少し前まで喉が痛い風邪に塩化リゾチームを使いましたが原料は白身です。

張仲景の苦酒湯は卵の殻から黄身を取り出し白身だけにして半夏と酢を入れて加熱し喉の痛みに用いました。