貪瞋痴は断ちがたいとはいえ、自らに何も望まないことができるならばそれは楽だ。
それは密かな喜びですらある。
もう「欲しいもの」に煩わされないからだ。
欲しいものがすべて手元にあるからではなくてもこの生き方はできる。
欲しいものをすべて手に入れれば、飽くことなく次を考えるのが人という生き物だ。
その心をいつまでも自分だけのために砕くのは実は苦以外の何物でもないのではないか。
それに気づきさえすればたとえ欲するところあっても離れていられる。
望まないものは失望もない。たとえ、望んでも執するところ少なければ苦も少ない。
結果に対してどうあれそれでOKという生き方。
ただ流れ来るものの中で淡々と生きていく。
これ以上の楽はないと思うのだが・・・すべての生き物はそうやって生きている。
違うのは人間だけ。