金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

小林栄茂先生の事


私が比叡山行院に行ったときの行院長は戦後5人目の大行満、
千日回峰行者の小林栄茂先生。
行の鬼と恐れられた人です。
特に密教の指導は厳しかったが、私は密教が好きだったので、大変尊敬しましたし、同時にどこか親しみすらも感じました。

後半の密教の加行になると行中にもしばし、諸尊法のお話をうかがったり、霊感のお話もしました。
つい熱中して「あ、行の最中につい、いらぬ話をして申し訳ないです。」と恐縮すると「いいや、かまわん・・」と言われた。

霊感や霊験の世界はそういう大阿闍梨方はみな否定的なのかなと思ったら「いや、それはある。密教行法をしていれば十八道行法だろうが胎蔵界法だろうが当然そういう体験はするんだ。当たり前のことだ。」と明確にいわれた。

このお言葉で実は以後の行もずいぶん気持ちは明るくすっきりしました。
色々この世ならぬものとも出会ってきたのでどこかで霊の問題と密教のかかわりにひかっかっていたんでしょうね。

もっとも、この方の「密教行法をする」というのは到底我々の域じゃないでしょう。
やっとのことで加行が終わったら皆に「まあ、行とまで行かないが行に似たものができた。満足しとる。」といわれた。
以前、半分以上もの人が脱落して仕舞うほど厳しい方です。
昔の千日回峰は食べ物もろくにない中でなさったようです。
ただでさえ難行中の難行なのにね。
だから食べ物や雨風が入らず寝るところがきちんと用意されて行ができるなんて最高に贅沢に思われたでしょう。
故にやはり厳しいところは厳しく、私のずっと後で入ったある女性行者はたびたび霊感のようなことを口走っては「貴様のような狐憑きは、初めからわかっていれば修行なんかさせなかった!」と公然と激しく叱られたそうです。


加行が終わって後で聞いたら私の師匠も小僧時代に色々小林大行満から密教の法を教えていただいたようです。

こういう方は死後どうされているんでしょう。
なんか蓮の台なんかに座ってなんかいないで、もう相変わらず霊界の山をめぐって行をされている気がしますね。
                          合掌。