奇妙な「火星オリジナルの有機物」が見つかった
―硫酸の湖…⁉ まるで地獄のような環境ですね。 人間がこんなところに入ったら、もう痛いですよね。いろいろなたんぱく質を分解してしまうような酸性の湖です。 その後、「キュリオシティ」という探査車が多くの装置を積んで「ゲールクレーター」に着陸しました。ここには38~35億年ほど前に湖がありましたが、オポチュニティが着陸したメリディアニ平原よりも5~10億年ぐらい古い時代のものです。当時の水の環境を調べると、pHが中性ぐらいで、今の地球の海に近い環境だったんです。火星でも38億年ぐらいまでは地球に似ていたことが分かりました。 さらにキュリオシティは、有機物の組成も明らかにしましたが、見つかった有機物が奇妙で、炭素に対して硫黄が10~15%ほど入っていて、酸素も炭素もリンもほとんど入ってない、火星オリジナルのものだったんです。だから、火星に生命がいるとすると、地球とは有機物の形からかなり違うかもしれないということも分かってきました。 ※キュリオシティ 2012年に火星に着陸し、現在も活動を続けるNASAの火星探査車。地質的な形態や化学組成を調べるカメラや分光器、掘削装置など多数の探査機器を搭載、オポチュニティの5倍の重量がある。 ―地球と火星で「生命」の比較ができたら面白そうですね。
地球外生命体否定する理由がいずこにある?