風狐様の曰く
「巨大な台風が次々おきるのは大海竜王の怒りだ。」
「大きな台風ができるのは海水温が上がって大量の水蒸気がのぼるからでしょう?」
「海水温があがるのが竜王は苦しいのだ。だから怒って海の水をまき上げて雲に変える。変えて怒りに任せてそれをぶちまける。
かの竜王はそもそも海流を支配する存在だ。それも最近は思うに任せない。だから常にイライラして怒っているのだ。」
「人間に怒っているんでしょうか?」
「竜王に人類に復讐するとかそういう気持ちはない。ただ苦しいので怒り狂っている。住み心地が悪くなって本気で移動し始めたら世界の潮流は大きく変わるだろう。
そうなればまた自然がどう変化するか考えはおよびもつかぬ。大海竜王は世界の竜王の中で最も力の大きい竜王の一つだ。その力は難陀・跋難陀の二龍王をしのぐ。」
そう言えば難陀・跋難陀の兄弟竜王と沙伽羅竜王が戦ったインド神話があったと思う。
仏典では不空羂索神変真言経にある。
それで三竜王が海にすっかり毒をまきちらしてしまい、大自在天が世界を救うためその毒を飲み干し甘露に変じたという。
「来年も大きい被害が出ますか?」
「あっても少しも不思議ではない。
お前たちは地上の生き物のなかでは一番の利口者だが驚くほど愚かでもあるからな。
竜王を怒らすことを無意識にたくさんしている。」
来年もこんな風じゃたまりません。
私一人ではどうにもならないけどせめて「金剛光焔止風雨陀羅尼経」と印施したく、今日二十部ほど刷ってもらうよう版元に注文しました。
金剛光焔止風陀羅尼は龍を制する金翅鳥の陀羅尼です。