金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

浴油加行の怖さ

浴油加行中の弟子のひとりが高熱を出して倒れたと言ってきた。

本人いわく道場が暗く、温度のメモリが良く見えないためコンロの火が強すぎて天尊を熱しすぎた油につけたためかもしれないとのこと。

どうだかわかりませんがあり得ます。私にもおぼえがある。浴油加行中に多羅の油に入れるのは丁子、白檀抹と決まっているのをサービスのつもりで高価な十種香を入れたため、その油の異臭を吸って肺を患ってしまった。

おそらく肺炎だったのだろうが加行をやめたくないのでこの時は医者に行かずに通した。

呼吸するだけでもズキンズキンと痛んだくらいだったが、軽くなるまで数週間を要した。

それで聖天尊は怖いという話になりがちなのだが・・・こういうことは主に加行中の起きる。

まあ、総じてこの浴油の加行はまるで軍隊の新兵訓練のように徹底して厳しい。

聖天尊という鬼軍曹が目を光らせている。

 

しかし、それでは聖天さんはそんなに恐ろしく付き合いづらいのかと言えば実はそうでもないのだ。

加行が終わってだんだんと、天尊と距離が近づけば自然と鬼軍曹のお気持ちもわかるようになるのでそのようなことは起きなくなるし、天尊のおさとしの仕方もより優しいものになる。

まあ、気心が知れると言っては失礼だがそのようなものである。

その域でなくては聖天浴油の祈祷など満足にはできない。