十一面観音
本尊であるから尊崇するのは当然だがそれだけでなく大変魅力の深い観音だと思う。
その特徴は文字通り頭上の十一の顔だ。
本面である菩薩面
更に頭上に柔和な顔が三面
瞋怒の顔が三面
口から牙をむいた顔が三面。
頂上の仏面。
そして真裏の暴悪大笑面
まなじりを釣り上げて恐ろしい顔で嘲り笑うこの悪魔的な笑怒の面。
この顔あるがゆえに十一面観音は聖観音などにはみられない怪しさがある。
このゆえに観音を魔的で恐ろしいという人さえもある。
だが私あh底に深く限りない魅力を感じる。
慈悲深い顔の裏には実に恐ろしい暴悪笑怒があり、
無慈悲に嘲り嗤う悪魔の顔の奥には仏の慈悲がある。
だがどちらも仏の顔なのだ。真実の仏とはそういうものだろう。
だからこそこの仏を信じたい。
おそらくインドでこの観音を感得した人はあらゆる人の表情の下に真の仏性が隠れていることを悟ったのだと思う。
微笑も、怒りも、嘲りさえも。