金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

大久保彦左衛門 天下のご意見番

 

最近は逆パワハラというのがあるらしい。

部下による上司へのパワハラだ。

昨日は夜分録画した大昔の映画「大久保彦左衛門 天下のご意見番」を見ていた。

天下の御意見番 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

 

大久保彦左衛門(机龍之介)は亡き主君・徳川家康から、その見識を買われてのちの将軍におかしなことあればこれに意見してくれよと遺言されていた。

舞台は三代将軍家光の世。

幕府直属の家臣である直参旗本たちは外様の諸大名に比べても、その扱いが劣るのを不満に思っていた。

そこで旗本たちの不満を聞いた大久保彦左衛門が「我こそが神君から役目を仰せつかった天下のご意見番」と諫言役を買って出て将軍家に意見しようとする。

 

だが、それをきいた副将軍・水戸頼房(市川歌右衛門)は彦左衛門に会って

「そなたはまこと忠義から上様に意見しようとされるのか?」と聞く。

彦左衛門は知れたこと。それが東照神君に託されたるわが役目なのだと大威張りで返答するが・・・

頼房は さて、そうやって上様のお為と申してそなたが意見すればするほどに、上様は暗君であるということになるのではないか?それが忠義かと問う。

この言葉に彦左衛門はハッとおのが過ちを悟る。

 

これは現代でもありがちだ。部下でありながら何かというと上司に意見する人がいる。

まあ、それが悪いこととは言わない。

それだけの見識がある人もいるだろう。加えてダメ上司もいる。

本人からすれば過ちのないよう進言しているつもりかもしれない。

そして事実有益な、そして必要な進言であることもあろう。

だがそれをするとなるとそう簡単なことではないのだ。

それも大久保彦左衛門のようにここでの自分の役目だなどと思い込み、固定化すれば、それもいつしか鼻持ちならぬ増上慢へと変わっていく。

ましてやお為はおろか、自分の利口さをひけらかさんがため、さらに恥をかかさんとしてことあるごとに「そんなこともわからないのですか?」と物申すに至っては論外である。

正しく進言する部下とはそれが傍目にわからぬよう、さらには目上の人がそれとなく自然に悟るよう促すもので、そうあってこそ真に感謝され、重宝される人となるのである。

これ見よがしにするのでは人をさげすむのに変わらず、恨みさえ買いかねない。