絶大の法力による霊験。
多くの方が期待するところだが、実は奇跡のようなことは実は多くの要素の複合でできている。
その見事な結晶が霊験だ。
そこに祈るという要素がないならそれは起きない。
ただ必要不可欠だが祈るだけで起きるわけではない。必要十分ではない。
そこには時の意思が加わってそれが起きる。
時の意思とは平たく言えばタイミングだ。
時の意思は至高の存在の意思でもなく誰かの特定の意思でもない。
その時空に参加しているすべてのものの都合とでもいおうか。
起きなくてはならない一つの手段として起きる。
なんの手段?
次のステップに行くための。
違う言い方をすれば、すぐれた呪術者とはオーケストラの優秀な指揮者のようなものだ。
音楽は指揮者だけでなにひとつ成り立たない、オーケストラに参加するすべての奏者や歌い手があってだろう。
だがその指揮のことを人は法力と呼ぶ。