金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

聖天談義は楽し

今回、講習の帰りにある聖天様のお寺によりました。
そこで色々聖天様にまつわるよもやま話を楽しんで?帰らせていただいたのです。ご住職は私より10歳以上若い人です。
後継者がない。50歳ちょい前で御結婚しておられない。
独り者は私と一緒。「もう結婚はいいと思っているんです。」とのお話でしたが、自分のことを棚に上げて「いやいや、一人だと色々大変ですよ。しておかれたほうが。」などと余計な老婆心も出て、我ながら思わず苦笑。
60歳に成ったら隠居」ご希望とか、「やめてくださいよ。こっちはこれからまだまだ新しいこと始めようと思うのに!」
この方はご養子さんだそうです。代々養子のお寺。聖天様のお寺としては理想的ですね。かくいう私も寺の後は養子をとるしかない身の上。でも非法人のままだし面倒くさいのでいっそ本山でもらってくれるなら最後には全部挙げて仕舞おうかとも思いますが…、
養子というのは多分に漏れず色々大変だったそうで、ご老僧が昔ながらの行者で「精進料理」しか食べない。
伝授も内陣で電気など当時は引かず、昔のように蝋燭で照らして伝授してもらったそうです。
一遍、ラーメン食べているのが臭いでばれて「出ていけ~!」ってなったそうです。
「もう、我慢できない!インスタント・ラーメンさえも食べられないならこんなお寺こっちから出ていきます。」と啖呵切って出て行ったり、また、もどったり、怒鳴ったりつかみ合いの喧嘩までしたそうです。
今でもご住職は「長物」つまりウナギ、ハモ、太刀魚は食べない。これは霊符やっている関係だそうです。
亀蛇を食べないということでしょうが、どちらも普通食べないのでそのかわりだそうです。
立派ですね。私なんかなんでも食べるし…反省。
そして、最後の数年には本当のおやじのようになって最後を見送りましたとの事。
なるほどね、色々あるよね。
 
何とご先代の大僧正は95歳でご遷化、90歳まで浴油祈祷はされたというから、そうとうの剛の者ですね。これはすごい方です。
倒れて半年ほどでみとられたそうです。
「聖天行者は長い生きか早死にかどっちかですね。」という話も出た。
私の師匠は70で早い方かも。
私もそう長生きはしないようにも思いますが…中には49歳でなくなった勝れた行者さんもいたとか。
それから「聖天様ってやきもち焼きですよね。」なんていろいろ実際の面白い話も出ました。
実際、古文書を見ると「せうてん、ふかく恨み給うて」なんてよく書いてある。偉大な聖天行者である生駒の湛海さんのお話なんてのも、ひもとくと実はそんなのばっかり。湛海さんのお不動様信仰にやきもち焼いたり、聖天様とは附いたり離れたり色々ある。腐れ縁の恋人みたいです。

ある昔の高僧の話ですが「歓喜童子」と暮らしていて、とても大切にしていた秘法の伝授を他の人にしたらやきもち焼いてお童子さんが池に飛び込んで死んじゃったという話もあるそうです。歓喜童子様は神様だから死なないはずですが…面白いね。それくらいやきもち焼くということかな。

聖天さまに惚れられないと真の聖天行者にまではなれないんですね。たぶん。
 
最後には今日は色々聖天話で聖天様をいじってしまったから…今日はちょっと御不興かもと・・・と笑って雨の中、自動車で京都駅までお送り頂き別れました。