金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

離塵不可得

亡き野澤大僧正から毘沙門天供を教えられた時の話。

吉祥天の種字(梵字で表現した文字)はシュリ―。吉祥という意味。

だがさらに奥深く意味を問うと「離塵不可得」の義という。

「これ大事ですがな。塵離れたら密教成り立たん」といわれた。

塵とは煩悩だ。

すべては「煩悩」を離れられないとこの字は語っている。

じゃあ四弘誓願の煩悩無尽誓願断はどうなるの?

密教の五大願には煩悩無尽誓願断はないのだ。

代わりに福智無辺誓願集がある。

無辺の福徳と知恵を誓って集めよう。

すごい欲ですね。

これを「大欲」という。

誤解を恐れず言えば世の中を豊かにするのは煩悩の所作だ。

大欲には個人だけの福徳はない。

皆豊かに幸せになってほしい。

そういうことだ。

突き詰めればこれ煩悩の極みだ。

煩悩がまるでないところに吉祥天は用はない。