金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

法華四菩薩と密教の法華曼荼羅

日蓮宗信仰の方から密教で図示する法華曼荼羅は「日蓮宗の髭曼荼羅の様に浄行、安立行、上行、無辺行などの重要な四菩薩の姿が見えないが何故か」と聞かれました。

 

日蓮宗ではほとんど観音、弥勒などの菩薩信仰はないようです。

これらは他方来の菩薩と言って異次元世界から来た菩薩。いわば宇宙人的菩薩で法華経の主役は我々地上の人間つまり「地湧の菩薩」と考えるのが日蓮宗です。

そして浄行、安立行、上行、無辺行の四菩薩が我等「地湧の菩薩」の導師と言います。

 

ゆえに日蓮宗で菩薩信仰といえば、この方々が中心です。

髭曼荼羅でも上の方に大きく四つお名前が並べて書いてあります。

法華曼荼羅 - Wikipedia

これに対して密教の図像の法華曼荼羅では釈迦、多宝の二如来を取り巻き観音、弥勒、普賢、文殊といった胎蔵曼陀羅中胎八葉の四菩薩、薬王、常精進、妙音、無尽意の法華経で活躍する四菩薩で構成されています。

向かって右(東)に胎蔵界の四菩薩は集中しており、法華の四菩薩は左(西)に集中しています。

密教では地湧の菩薩とは我々自身なので、そのリーダーである四菩薩は我々自身の内証と考えるのであえて図示はされていないのだと思います。

 

密教の曼荼羅はそれを拝む人がいて主客一体と考えられる存在でそこがただの絵とは違います。

どちらが良くてどちらが悪いはないと思うのですが表現はこのように違います。