K師の護摩道場。
ロウソク以外の照明が一切ない。昼間でも暗い
元来、密教道場は密儀の場ですからそれが本来なのです。
お次第も手燭で拝見します。
しかも熟練した行者は次第など見ないことも多い。憶えているから。
地方の大きなお寺にはそういう構造の建築もまだ多い。
でもドンドンなくなりつつあるのは残念だ。
檀信徒などが仏像がはっきり拝めない、足元が暗いなどと苦情が出るから再建する建物は文化財でもないならドンドンホール化して明るくなる。
まるでもう斎場みたいだ。
ふだん檀信徒が入らないお堂は密教寺院にはあたりまえに存在していた。
だって密教ですから。みえなくていいんです。
みえないほうがいい。
それがはっきり言えない僧侶も悲しい。
今に内陣に入っちゃいけないなどと言えば「それは差別だ!」といいかねない。
そう言われてオタオタする。
私は動じませんが。
内陣は灌頂の略である洒水をし、三昧耶戒の塗香を塗り、秘儀を行う。
すべての修法はその本義は曼荼羅への供養である。
秘密道場なのです。
かかる道場に俗人がゆえなく入ってはいけない。それが密教です。
平たく言えば手術が行われるオペ室やシェフの厨房に俗人が入れないのと同じ。
関係ない人は入るべきでない空間。
それを差別というのはものの道理ということを知らないバカだけだ。
K師の護摩道場も照明があれば点灯することになってしまうから初めから設備していない。
さすがだ。
K師は同門ですから、わが師匠の薫陶は勿論、比叡山時代に瀧口大僧正や数々の有名な事相の大家の薫陶を受けてきただけある人だと思いました。