金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

王子と乞食

ときどきあんなだったらいいのにとか、こんなだったらいいのにとか人様のことをうらやましく思うことがありますよね。
まあ、重病や身体に大きい不具合のある方が健康な方を見ていいなあ…とか言うのはわかるけど。
でも、そういうのじゃなくてもっと美人だったらとか、もっとお金持ちだったらとか、もっと利口だったらとか色々ありますよね。
じゃあ具体的にうらやましいと思う人の名前あげてみてください…というと戸惑う。戸惑わない人の場合はじゃあ次にその人になってしまえるとしたらなりたい?と聞くと意外とそう思わないものなのですね。
そう。それはね、実は皆さんが結構自分らしく生きているからなんです。だから、ある部分はうらやましいけどそれ以外は必ずしもそうじゃない。此れ大きな気付きです。
言ってみれば、皆ほとんど理想に近い線で生きているということ。
王子と乞食という西洋の物語がある。お互いがうらやましくて瓜二つの二人が入れ替る。でも最後にはもともとの自分に価値を見出して王子様はお城へ、お菰さんは庶民の街へ帰っていくお話。
いくらうらやましくてもまるきりほかの人物にまでなってまでそうなりたいと思わないわけですね。
趣味だって考え方だってきっと違う筈。
うらやましいと思う人に成り代わってしまってそこの家に行けばすぐにわかるでしょう。いや、これは自分の家なんかじゃない。
だから自分が自分であること。
喜びましょう。