金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

「今日は死ぬのにいい日だ」


いのちの電話」というのがありますね。
お世話になっている浄土宗の「ともいき財団」さんなんかでもカウンセリングの先輩方がやっています。
自殺しようという方が、「もう限界だ・・・死んでしまおう!」と言う前に電話をかけるところです。
そういう電話もらって、どういう風に説得するのかしらと聞いたら…説得するのでは無く、傾聴する。
まず聞いてあげるんですね。
そして「私は貴方に生きていてほしい」というメッセージを強く伝えるということが大事なんだそうです。
実際、東尋坊の亡な自殺の多発地域で見回りの人が、自殺しようとする人に気に留めて「やめなさい」と言うだけでやめることは多いという。

私はそう言う「いのちの電話」をやったたことありませんが、だいぶ前に「僕、○○海岸にいます。これから死のうと思います。」という全く知らない人からの電話をお貰いました。そのころは、そのようなカウンセリング技法みたいのもまるきり知りませんでしたから・・・
どうしていいかわからないので・・・・とりあえず「やめておきなさいな。」
「なんででしょう?」
自分で電話しておいて「何で?」もないもんですが。まあ、追い詰められれば人間もおそらくそういうもんでしょう。
「なんで・・・って・・・今日は日柄が悪いんです。」(本当はそんなの知らない)
「エ、死ぬのに日柄があるんでしょうか?」
「…そうです!」
「悪いとどうなります?」
「今日は日が良くない。死に損なって体を損ねて不自由な身になって生き続けるか、うまく死んでも浮かばれないでよくないところに落ちていくんです。」
「でも本当に輪廻転生があるならもう死んで生まれ変わりたいんですけど、・・・」
「いけません。次回生まれれば今よりもっとひどくなります。業が残っていて続きをやらされますから、そこからスタートですよ。」(これは因果論から言えば本気でそう思う)
「ええ~!そんなことってあるんですか・・・?」
「あります。ですから、今日はやめておきなさい。」
「わかりました・・・やめます。」

外国のSFテレビシリーズ「スタ―トレック」のなかに武ばった宇宙人で「クリンゴン」という種族が出てきます。好戦的で死ぬことを厭わない日本の武士か、ジンギスカン時代のモンゴリアン兵士みたいの・・・。その種族の戦闘前の決めセリフに「今日は死ぬのにいい日だ。」というのがある。
「みごと死に花咲かしてくれるわ!」みたいなもんですわな。
それで、彼らは「極楽」みたいに独特の死後のヴィジョンがあってそこにいく信仰があるんだそうです。

もっとも「今日は死ぬのに悪い日だ」とするなら、では「死ぬのにいい日は何時か?」と聞かれても困りますが・・・さいわい死ぬのにいい日は何時かという電話はその後ありませんでした。