金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

ポジティブシンキングの話

この間のセミナーで出た質問で個人的に興味があったのが「ポジティブシンキング」をどう思うか?という質問。

 

ここでいうポジティブシンキングって否定的なものや言葉を思わない。口にしないってやつですね。

いつも前向き。

そういう基本姿勢はまあいいですね。悲観主義よりはずっと。

 何かあったと言ってはオーバーに騒ぐのもまったく感心しないし。

 

でも世のなかはいいことだらけでも悪いことだらけでもない。

例えばご飯が食べれれば幸せという地域もある。今日は食べるものがあると言ってよろこぶ。

御殿やお城の様なところに何不自由なく安全に住んでいても憂鬱で死にたい人もいる。

仕事がもらえるなんて望外の幸せという人もいれば、嫌いな会社に行くくらいならもういっそ死にたいと思う人もいる。

 

そんな中でひたすら良いほうだけ思うというのは頭がパンクする。

その良い事ってただの現状より望むことが加わるだけのことだ。

戦争で爆弾が降ってる毎日であれ、御殿でごごろしている毎日であれ、慣れればそれはどちらも普通かも。

そういう普通から上なら幸福のベクトルということに感じる。

不幸は逆のベクトルで同じですね。

両方望む望まないのベクトルの違いでしかない。

だから良い事しか思わないというのは結果的に物欲でパンパンの頭とそう変わらない。

 

そういう頭はしまいに破裂する。まともな人なら絶対に苦しくなる。

何故ならそれは不自然で馬鹿げてるからです。

 

本当のポジティブは嫌なこと、辛いことがあっても受け入れることだと思う。

それが仕方のない事であるなら「まあ、・・・いいや!」という感じで。

大事なメッセージや学びはむしろネガティブと思うようなことの中にこそあるもんだ。

良くも悪くもそれが自分の人生。

自分の人生が外にはないなら愚痴の出ようもないというもの。

全部背負って生きていく。仏教の考えは苦楽中道。

苦の中にも楽の種はあり、楽の中にも苦は潜んでいる。むしろそうした事実を見据えることが基本。物事を苦楽一辺倒で見ない。

大事なことはそこから何か得られるか?すべてに学びがある。

 

大黒様の背負う袋。あれは自分の人生です。そう思ってみています。

それをそのまま背負ってニッコリ笑うのが本当のポジティブというものではないだろか。

「イラストフリー 大黒様」の画像検索結果

かたやイヤなこと辛いこと。否定的なことを徹底して見ないようにして硬く目をつむって生きる生き方。

そんなの勧められない。

 

それって何を生む?

地球が回り続ける限り、我が大日本帝国は必ず戦争に勝つのだ!と言ってどうなった。

あれっていわゆるポジティブシンキングですよ。

日本は勝ちましたか?