金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

宝篋印陀羅尼と尊勝陀羅尼

壁紙,無料,画像,フリー,ダウンロード,写真,サイト,素材,東照宮の奥社 ...

どちらも大変有難い陀羅尼です。

尊勝陀羅尼は私の師匠寺・大福生寺に縁が深く、わが師である現住職も毎月拝んでいると聞いて以前手持ちの曼荼羅を複製してお布施させて頂きました。

f:id:konjichoin:20200329091116j:plain

明治時代、比叡山の願海阿闍梨が明治天皇の御誕生を尊勝陀羅尼法と聖天法で円満ならしめたと言います。それで御生母の中山一位局が妙法院にお礼として奉納した聖天像が転じて本尊ということになっております。

今の本尊がそれなのかどうかはわからないと生前、先代の師匠が言っていましたが。

願海さんは尊勝陀羅尼の功徳を集めた「尊勝陀羅尼明験録」という本を著されてその信仰を宣揚されました。

この陀羅尼は御仏の頂上の肉髻を神格化したものの陀羅尼で最も頂にある仏の意味です。

お経には七たび悪所に堕ちるはずの善住天子がこの陀羅尼の力でそれを免れたとあります。

平安時代に百鬼夜行の群れに出会ってしまった若い公卿がこの陀羅尼のお陰で助かったというお話も今昔物語にあります。

滅罪に加えて魔除けの力が強いのでしょう。

 

そんなわけで尊勝陀羅尼の方がなじみがありましたが、最近は宝篋印陀羅尼のほうにも縁ができてよくお唱えする。

此方は宝篋印塔の陰に虫や獣が入っても成仏するという有難い陀羅尼。

過去世八十億劫の罪障も一時に消滅して、その名を唱えて回向すれば、重罪で地獄の溶銅熱鉄の池で苦しむ亡者も直ちに蓮の花咲く浄らかな池に生じると言います。

このゆえに亡者の供養に盛んに読まれました。

八十億劫というとおそらく我々が人間じゃなかった生命原初の時代の罪も除くのでしょ宝篋印陀羅尼は仏教のエッセンスの象徴である舎利の功徳をもっとも広大に説いたものと言えるでしょう。

どちらが良いという優劣はないですがどちらも最略儀の真言で言えば一字金輪仏頂のボロンになります。片や仏頂。片や舎利で両方とも仏法のエッセンスを表現しています。

 

天台ではこれに千手観音大悲心陀羅尼、真言では阿弥陀大呪を加えて三陀羅尼として珍重します。