山のある施設で働く修行者が最近よく悪夢みるというのでお加持してみた。
最初に大きなくちばしの鴉が出た。ヤタガラスか・・・私の側にいてわが胸のあたりに顔だけ出している。手が自然と印を結ぶ。
次には「三峰山」の額が見える。
三峰なら狼か・・・
そして切株のある山道をあっげていくと祠の映像。今はもうそれはないようだ。
口の裂けた恐ろしい女の顔。
一通り終わって「どう?」といって内容を話した。
彼の話では最近熊野の石?那智黒かな…を入手したとか。
ヤタガラスは那智社にまつられてる。三峰山と言う神社にはよく参っているらしい。
おそらく秩父三峰権現の分社だろう。
それで問題は口の真っ赤に裂けた髪の長い女。まなじりは吊り上がってすさまじい。
コイツが悪夢の正体。妖怪「ヤマオンナ」‼ なんて独創性のない名前
登山女子に怒られそうだが、でもそう聞こえる。
山神の眷属かな。
その彼女が護っていた祠が今はなくなって収まりがつかないようだ。
本は実類の精霊。まあ、もともと妖怪とそう大差ない。
こういうのは善良なら小さな神様、悪性なら魔物だ。
主人である山神がどこか行ってしまって元の妖怪に戻ったのか。
だが、どうもこいつは三峰の大真口神つまりオオカミや熊野の八咫烏がとっても苦手のようだ。
最初の鴉や狼はこの人が意識しないまま自然にコンタクトしている守護精霊なのだ。
良い傾向だ。
守りを自然に得ている。おのずとそこに足が向いているのだ。
この人にはそういう本能みたいのがあるようだ。
熊野の鴉も三峰の狼も彼を守る側の存在。この守りがなければ事態はもはるかに悪化していただろう。
熊野と三峰。
実際、この二社は私の知る限り魔よけや障碍を取り除くご神徳は最高だ。
分社をお参りしてもいいが、本社にお参りすることでその守護の力は飛躍的に倍加する。神社系はそうだ。
故に「熊野は遠いからともかく、三峰の本社はいけなくもない場所だからそのうちお参りに行ったらいい」といっておいた。
後で電話が来てやはり大きな切株の道の上に昔は祠があったそうだ。
「ほかに近所に遭難者の祀られたところもあるがそちらはどうか?」といっていたがそっちは関係ないように思う。
彼の話では一応その後、まだなにがしかの気配は感じるが悪夢のほうはやんだようだ。
こういうお加持におけるいろいろなことの把握はすべて護法のなせる業だ。いつも言うように普段の私は何の霊能もない凡俗の人間だ。
お加持モードに入ってはじめて知ることができる。
まあ、これをわかりわかりやすくいえばナンチャラ隊員(愚僧)とウルトラマン(護法)のような関係がそこにあるのだと思う。
余談だがタバコを好む行者さんでもそうでなくてもその神通力には関係はない。
私の師匠もタバコはお好きであった。
ただし、私は吸わない。日常的に吸う人間は弟子にしない。
護法が嫌うので。人霊系の護法は吸ってもオーケーだ。
師匠の背後は天満宮に元三大師だった。
霊狐のように多く動物系の護法神の助けを借りる行者はたばこは吸わない方が良いと思っている。
金峯山の初代管長 五條猊下もそのようにご著書で言われていたと思う。
じっさい、五條猊下は龍蛇形の脳天大神を感得し稲荷神やその神使の導きに多く預かられたという。