金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

施餓鬼をより理解する その1

不空三蔵(弘法大師の師匠の師匠)というお坊さんが訳した施餓鬼の儀軌にある発願文を見るとお施餓鬼がよりはっきり理解できます。

 

「仏子、それがし(行者のこと)発心して、一器の浄色を奉持して、あまねく尽虚空周辺法界微塵刹中所有国土の一切の餓鬼に施す

先亡久遠山川地主ないし曠野の諸鬼神、乞う。来たりてここに集まれ。

吾れ今悲愍して、あまねく汝に食を施す。」

 

餓鬼というのはいたるところにいる。山や川にもいる。町中にもいる。

東京のような大都会にもうようよいる。我々の世界と重なっている。

それを皆大集結させます。

この中に先亡つまり先に亡くなった人の外、山や川の主、曠野の鬼神も含みますので人間ばかりでばく妖怪のようなものもくるのです。

霊能のある人が見るとおなかが出た頭髪のバラバラな餓鬼の外に人間とも思えない奇怪なものも見えるということがあるそうですがそういうことでしょう。

そういうものを積極的に集めるんです。

よく霊障で悩んでいるので密教の修行やって楽になりたいという話がくるけど、不成仏霊だのが怖いなどと言っているようではとても密教行者など無理な話です。

そういう霊のお世話もしないといけないのが密教行者なのですから。

 

「願わくは、汝各々にこのを受けて転じ、まさに尽虚空界の諸仏及び聖、一切の有情に施して、汝と有情と皆飽満せんことを。

また願わくば汝が身この呪食に乗じて、苦を離れ解脱し天に生じて楽を受け、十方の浄土もこころに随って遊往し、菩提心を起こし、菩提道を行じ、当来に作仏して長く退転なく、先に道を得るものは誓って相度脱線ことを。」斛

 

施された食事は数粒のお米が陀羅尼の力で49斛の量になるといいますから、とてもひとりでは食べきれるものではない。だから自分だけでなく仏さまや菩薩やあらゆる衆生に施しなさい。自分も食べるが人にも食べてもらう。これが健全な供養です。

施食三供印明と言って秘密の印と真言でお食事を加持します。

これが施餓鬼ではもっともコアなところです。

この加持されたお食事を頂けば。不思議な加持力で餓鬼界から離れることができるのです

そしてこのお加持された食事の力を施してその功徳をうければで天界や浄土にも行けるようになる。

そうして自由の境涯になったらしたら必ず元の境涯の餓鬼たちを忘れず救いなさい。

ここにもらうだけではいつまでも餓鬼であり、人を救いたい、役に立ちたいという思いが餓鬼に教えられるのです。

もともと餓鬼でいるのは奪うだけの心によるのですから、与える心を持ってこそ、はじめて餓鬼から離れられます「。

ここがただ食事を備えるだけのお供養と密教の力による施餓鬼の大きな違いです。