私の方では盂蘭盆会は新暦で行なっているので、行事としての盂蘭盆会は八月にはおこなってません。
そして、多くのお寺ではこの時期だけ施餓鬼供養を行うのですが、私のところでは日々行なっています。なぜなら施餓鬼供養は真言行者が本来は日々修行する大慈悲行だからです。
御供養の時には、申し込まれたかたの諸霊のみならず、三界萬霊、ことには先師尊霊、第二次世界大戦戦没者、広島長崎原爆犠牲者、東日本大震災被災者、そして、今までご供養してきた方々すべてに総じて回向をしております。
施餓鬼供養は、「まずすべからく広大の心を発(おこ)して餓鬼を請ずべし」
とその儀軌に書いてあります。
広大の心というのは大慈悲心です。
法界すべての餓鬼をはじめとする諸霊余すことなく、法の庭にまねき寄せます。
そして、五如来の加持を被った飮食の供養や陀羅尼の功徳により、苦しみが取り除かれ楽をうけます。餓鬼はそれによって有縁の天や浄土に生まれ変わりそこで仏道修行を行います。
しかし、いかに如来の加持力が強くても、行者が広大の心をおこさなければ餓鬼は集まれないのです。
さて、私たちが密教にご縁を頂いて、信仰する気持ちをおこします。本来持っている仏様と同じ清らかな心が芽生えます。初めはささやかなものです。三界万霊を始め、ご先祖様やご縁のある方をご供養したいという気持ちもここに基づきます。
それを、大慈悲の行の実践により育て、深めていくのです。それが私の場合は施餓鬼供養などの密教のご供養にあたります。
究極、たくさんの餓鬼たちも私たちも共に仏道を成就するのです。