この期に及んで何の反省もない。逆恨みしかない。
今はつかまって間もない野獣のようなものだから、ありったけ毒づいて、こうやって牙をむいて吠えるのだと思う。だが時間には誰も抗えない。
人間はそういうものだと思う。
この人間、今は勢いがいいが刑が執行されずに何年も長引くほどこうした気持ちは徐々に萎え、気力は失われ、むしろ誰よりも自らの行為を呪うようになるだろう。
だから死刑はあっても刑は執行されなくてもいい。
そして執行されなくても死刑はあったほうがいい。
死を前に自らを考える絶好の機会だ。
この人もたとえ死ぬにしても人間らしい人間になってから死んだほうがいいだろう。
私はそう思う。