群馬県の骨董会館で見つけた伎芸天。
なんと総象牙作り。
おそらく、戦前のものですが「象牙」という生き物の材質は仏教の立場から考えても良い事じゃないのでためらいましたが、出来があまりに見事なのと珍しいので買ってまいりました。
左手の「華盆」の彫りなど超絶ものです。
それともう一つ、大事なこと、
ゾウの供養もしてあげたい。
このままこれが誰かに売れても供養する人はおそらくないでしょうし・・・
幸い、もう象牙が国際的に取引が禁止されているため、これを購入しても販売の促進にはならない。
おそらく伎芸天の象牙彫は日本にふたつとないでしょう。
かなりお高いものですが一つくらいは寺の宝らしいものがあってもと思い、大規模リフォームの後でカツカツですが財布逆さにして買いました。
まったく同じデザインで明治時代の彩色木像(竹内久一作)が東京芸大美術館にございます。
巨大な一牙から彫っています。
これも礼拝像でなくおそらくは美術品ですね。
こういうものは礼拝像でなくてもいったんは拝む前に抜魂しての因縁を改めます。
造像の目的が違うのでむしろより慎重さが要ります。
美術品から尊像に昇華しなくてはならないのです。
ゾウさんのお供養の方は大森先生にさきほど依頼しました。
まず尊像の開眼よりゾウの供養です。
こう言うことでもないならこの牙の持ち主は永遠に供養されないでしょうから。
伎芸天の性格からして開眼の後は扉は閉じて秘仏にします。
もう美術品ではなくなるのですから人眼には触れません。
ゾウさんも安らかに眠ってください。