金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

近くて遠い世界の話。

聖天様への祈りが餓鬼に阻まれて…という岩手のお施主様の記事をかいたら、「ならば、聖天様はなぜその餓鬼を追い払わないのか?」という疑問もあるでしょうね。

 

たしかに問題のお札と聖天様の神棚は物理的にはすごく近い。

でも実は霊的な世界では全然レベルが違う開きがあるのです。

つまり聖天様の住む世界と餓鬼がうろつく世界は物理的にはとても近く見えて、実ははるか遠い世界なんです。

 

お供物がうまく届かないのはまあ、いってみれば荷物の発送して途中で事故があるようなもの。

聖天様に届かなくても聖天様はノコノコ餓鬼のいるところまで受取りにはいかない。

抑々神霊はそんなもの欲しいことはしないんでしょう。財法ニ施も究極、贈り物ですし、贈り物はと届くまではすべて送り主の責任です。

 

だから昔から供物を横取りする餓鬼には行者が加持飲食陀羅尼や蒙甘露、一字心水輪観陀羅尼などを唱える。

同じように行を邪魔するビナヤキャには遣除毘奈夜伽印を用いて追っ払っておくという作法があるんですね。

 

そういう作法のできない在家信者さんは聖天様の邪魔にならないよう、極力余計なものを措かないとかいう気配りが必要なんです。