金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

聖天様の夢

先月は本山の大法要で22日まで滋賀県まで往ったり来たりであわただしく、それが終わってからも月末から12月朔日と地方の信徒さんの新装開店の御祈祷に行って来ました。

この信徒さんは毎月、熱心に聖天様の御祈祷を受けている方ですが、二年ほど前の暮れのことです。懇意にしている自分のお得意様が病に倒れ命が危ういとのことで私に特別に祈祷の依頼がありました。
「今、死なれては本当に困るし、それ以前に一方ならない世話にもなってもいるので、とにかく助けたい。聖天様の一番良いご祈祷で頼む。」とのことでした。
私は普通は信徒さん以外の聖天さんの祈願は受けませんし、ましてやご本人の依頼が無ければ原則祈祷はしないことにしています。
しかし、その点を話すと、病院に入院状態だが本人からも祈祷をしてもらいたいという気持ちがあり、その旨確認をもらっているという話でした。

そこで人の生き死ににかかることでもあり今回限りと云う話で依頼をお受けすることにしたのでした。
とはいえ困ったことにはもうその年も押し迫り、12月の聖天浴油供もとっくに終わっていました。
そこで異例ながら別座で七日間の浴油をすることとなったのです。私としましても全く個人のためにここまでの祈祷をするということはまずありませんでした。
・・・・甲斐あってか結果はご本人は無事に命を取り留めお仕事に戻られたそうです。

さて今回の訪問では2年前のその折にその信者さんが見たという夢の御話をはじめて聞かされたのでした。

その夢と云うのは
何か多くの神様仏様が集まって相談をしているのだそうです。「こんなのが下から上がってきたのだけど・・・、」「これは・・・ちょっと無理だなあ」神様たちがボソボソと云うのが聞こえたそうです。すると誰かが「聖天!」と叫ぶ声がしたと云います。みるとそこには象の顔をした神様が大根をムシャムシャやりながらたたずんでいたそうです。
そして「おれがやってやるよ。だけどこいつが約束破ったらその時はだめだからな・・・」というのだそうです。

彼はそんな話をしてくれましたが聖天様の姿が象頭人身であることも大根が好きなことも当時はなんにもしらなかったそうです。
その約束とはどんなことかは判りませんが、その後聖天尊には欠かしてならない御礼の祈願もきちんと挙げられました。

そして、ご本人は今もってお元気でおすごしだというという話を聞きました。
回復後に信者さんが夢の話をご本人にしたところ、「詳しくは言わないのですが本人も何かやはり似たような夢を見たのだそうです。」とのことでした。