金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

感見像 馬頭観音





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おととし感見した馬頭観音の像が先月の末にようやく出来上がりました。
ことのきっかけはどうも普通の馬頭観音像では動物の祈願にはいまひとつ感応しないように感じたからです。
あの怒りの御顔は我々の低次元の煩悩、いわゆる人中の畜生道を戒めるものであり、動物に向けられたものではありません。
そもそも、元来、馬頭観音の儀軌には動物救済などは一言も出てきません。
でも私は原理主義ではないので日本のそうした動物救済信仰もちゃんと活きたものとして扱いたい。ではどうすれば・・・・?
ということでどうぞ相応の御姿をとお祈りしたらこのお姿が心に浮かんできました。
馬頭観音にはこのような馬面のものも儀軌にありますが普通は明王のような忿怒の御顔の上に馬頭を戴きます。儀軌では馬面像は二臂となっています。
このような多臂像ではありません、
そのうち仏像が出来てきてからヒンズー教のハヤグリーヴァ像がほぼこれと同じ姿なのが判りました。ハヤグリーヴァは馬頭観音のもともとの姿です。
密教でも「賀野紇哩縛」などとも書きますから、宗教が違うだけで明らかに同じ存在なのです。ちなみにヒンズー教ではビシュヌ神の変化身とします。
ハヤグリーヴァには毒龍降伏の神話があり、チベットでも大聖パドマサンババが馬頭観音となって八大竜王を降伏したと言います。
以後八大竜王は馬頭観音の眷属で、これはそういう神話の付属はないけど日本に伝えられた密教でも同じです。ただ、八大竜王のメンバーは法華経とかぶるものの半分以上違います。
ところで出来上がってきてからあまりに奇怪な感じなので、此れって本当に感見像なのかなあ・・・と言う疑問も出ないわけじゃない。つまり何かの折でハヤグリーヴァ像を見ていてそれが心のどこかに残っていたのかも?と思わなくもないのです。
実はこう見えても私は霊感とかを自分のも含めて容易く信じません。
否定しないのだけどそれが本物かどうかは別ですからね。
そこは慎重にしたい。
特によくよく吟味したいのは自分自身の霊感です。
だから自分は霊能者だなんて看板では仕事してませんし、霊能で見てくださいと言われればそんなのは私はできませんよといってお断りしております。
私の知る限り霊能者信仰は多くのばあい、お互いに結果としてあまりいいことになりませんからね。(全てではないですよ。)
因みに霊感のない人間が感見などできるのかと云う疑問もあるでしょうが、私はそれらは神仏が見せてくれるので自分の能力とは思っていません。密教者の場合は霊感じゃなく、神通(神仏に通じる)だと思っています。
だからこちらから見るのじゃなくあくまであちらから見せていただくのです。

でもこの像が来てから間もなく寺の猫がいなくなりました。
丸々二日見ていないのです。ネコは三日見ないともう、完全に疾走です。遅いほど出てこない。
馬頭観音像が来て猫がいなくなるなんて?なんたることだ。
でもこの観音さまに拝んだらなんと即座に裏口から帰ってきました。
一難去ってまた一難。次にはフクロウがいなくなりました。
外に繋いでいたのですがひょっとしたはずみに縄がほどけて飛んで行ってしまった。まったく間抜けな話です。
フクロウやタカは鷹匠結びと云う容易にほどけない結び方にして繋ぐのだけど、うかつにもただ二重に繋いでいたのでほどけてしまったようです。
占卜が出来るお弟子に失せ物として占いをとってもらったら「まず無理」とのこと。 そうでしょうね。
空を飛ぶものだし、さすがにもうこれは駄目だろうと思ったけど、また馬頭様にお祈りしました。
そうしたら四日後にご近所の裏庭に飛来してそこの人が有難いことに上手に捕まえてくださいました。
どちらの場合も拝んだら不思議とカーッと背中が火のように熱くなりました。その時はこりゃあ感応なんかじゃなくていなくなった動物を心配して血圧上ったのかも・・・と思ったものですが。()
もちろん警察や動物愛護センター、保健所まで連絡しました。

しかし、実のところ、これはユーラシアワシミミズクと云う最大級の60センチ以上ある大型フクロウなので見つけてる人はいても、なかなか勇気出して捕えてくれるような人はいないでしょう。
第一、警察でも愛護センターでも「発見したら教えますから基本的に自分で捕まえてください。」とのこと。「ホラ、あそこにいるよ。」と言われても高い木の上だったりすれば私自身が捕らえられません。登って行けば飛んでいくだろうしね。
足紐がついているのでそれが木に絡まってもしまえばそのまま動けないで死ぬだろうし、えさも人が育てたフクロウだから動物なんかとれないだろうし・・・・。最悪、戻らなくてもいいから誰かが見つけて飼ってくれれば・・・いやいや、それもなさそうだしといったところでした。
でも結果としてもどってきたのです。捕まえてくれた人にも観音さまにも感謝感激です!

こうして拝んだ感じではやはり間違いなくこれは感見像だったと思うのであります。
ひょっとしてたてつづけに猫とフクロウが疾走したのも愚かな私に観音力をしめされるためだったのかもしれません。
馬頭様 疑ってすみませんでした。 
これからは動物の病気にもこのお像で拝んでみたいものです。 合掌

付記 インド神話ではハヤグリーヴァはもともとビシュヌ神から聖典ヴェーダを盗んだ悪魔を俊足で追っかけていってやっつけ取り戻した神様だそうです。対象が動物でなくても失せ物のお祈りにいいかもしれませんね。
私の弟子で六観音法を100座づつした人がいて、その人曰く。馬頭観音はとても霊験が早いと言っていましたが、なにせ密号からして迅疾金剛ですので。