金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

恐怖のラーフ尊

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世にも恐ろしいラーフ(羅睺星)の尊像です。これはチベットバージョン。
前々からお願いして仏教美術の貿易をされている方に譲っていただいたものです。
ラーフは凶星として知られますが、チベットの密教占星術では九曜星を統べる存在。
最強且つ最恐の天体です。
(因みにインド占星術では最悪の星は西洋占星術同様に土星だそうです。
元々は日蝕月蝕の神で西洋占星術ではドラゴンヘッドといわれます。
これはインド神話から出た言葉でラーフは元々ひとつの龍体ですがビシュヌ神の投げた武器である円盤(チャクラ)のために首が切れ飛んでしまったという。
この頭の方がラーフで首から下がケートウ(計都星)です。切れ切れになった二つの龍体は常に向い合せの形で天空を巡ります。
ラーフはまた最強の阿修羅王としても有名です。
日蝕や月蝕は頭上を往く日月を海底深くすむ羅睺阿修羅王が怒って食いつくのだと言います。
ずっと前に牛頭天王の頭と体は別々に祀られているという話を耳に挟み、牛頭天王の正体は実は羅睺星、計都星ではないかと思いました。
今でもそう思っています。牛頭天王は元は天刑星という星神ですしね。
おそらくなにかしら深い関係があるでしょう。
チベットでは羅睺星をお祀りすることは占星術の上のあらゆる脅威をのぞくことになるそうです。そして、とくに天体の悪影響からくる病難を除くというのも牛頭天王と御利益的に一致します。
この夏にあるリンポチェ(活仏)に開眼をお願いする予定です。
こういう忿怒尊は開眼したらもう御姿を顕わには祀れませんので一度だけお写真にしてみました。
ヤブユム(歓喜仏)やマハーカーラ、バジラバイラヴァなどもその御姿をあらわに祀るのははばかられる御仏です。
昔にそれを知らないで無智なまま、バジラバイラヴァ尊の絵を壁にかけてしまい痛い目に遭った経験があります。
ヤブユムなども興味本位で買ったりするといいことはないですね。
私が修行時代には聖天さんと勘違いして師匠の寺にヤブユムを持ってくる人がわりあい多かったけど、持っている人は知る限りロクな目に遭いませんでした。
これはそれ程前の話じゃないけど、ある占い師さんから父が譲ってもらった珍しい聖天様があるので見て欲しいという方が来ました。
その方のお父さまの世代で60万円以上出したと言いますからそうとうのものです。
チベット仏ですかと聞いたら違うというので拝見しましたら、やはりチベットのものでした。
それはヤブユムで男天には烏のような顔がなんと二つもついていてとっても不思議なお像でした。女天は人間の御姿だったと思います。
見慣れない御姿でしたが、だいぶ以前に池袋にあった美術商の事務所で同じ姿の単身像を見たことがあったのを思い出しました。
その時も名前が判らなかったのですが、知人にそれをネットで海外の文献まで調べてくれた方がいて名前を教えてくれました。
「カカシャ」といってやはりカラス面の仏様らしい。
チベットには本当に不思議なお姿の神仏が多いですね。
このラーフも見れば見るほど怖くて不思議で魅力的なお方です。

此れがカカシャ尊です。単尊でどうも本来は女天のようですね。
なんかかわいい感じで笑えます。
  
下の絵は大蔵経の「梵天火羅九曜」にある羅睺星の御姿