金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

時の旅人

今日は早や大晦日です。
人は年齢を重ねるごとに一年が短く感じるといいます。
勿論、過ごしてきた年数の単位が大きいのでそう感じるということもあります。30キロ歩けばその先2キロ歩くのはそう長く感じないですよね。だけど歩き初めに2キロは遠いかも知れません。
同じように子供の一年と50歳の人の一年じゃ感じ方は変わって当然です。
もう一つ大事なこと。
それはひとつには新たな体験が少なくなるからです。
色々若いうちは初めての体験をする。ビックリ初体験がたくさん。
良くも悪くも毎年毎年が記念すべき一年となるわけです。それがいっぱいあれば盛りだくさんの一年になるわけですね。
そういうのが年齢を重ねて少なくなってどの年も毎年毎年そう変わりなく過ごしていると、あれは去年だっけ、いいや一昨年かな?なんてことになっていく。
考えてみると私たちは時間の間、間を記憶しているだけです。ほかのほとんどの時間は忘れている。
時間を過去にさかのぼるほどそうなる。
ためしに小学校の頃の思い出を上げてみてください。
ポンポンと時間をステップして主要なことと思っている場面しか出てきませんよね。その間と間はもう忘れて飛んじゃっている。
人間の頭脳はそういう構造ですからテレビや映画で急にそれから3年後なんて場面でも違和感ないわけです。
だから何年生きていようとそういうのが多いか少ないかで人生の豊かさは変わるわけです。
多くの体験をすればそれだけ人生は豊かになる。
いまいましいことだって時が経つとそうなるのが不思議ですよね。
だから戦友会なんて行くおじいちゃんがやはりいるわけです。
「軍曹殿にはよく殴られましたね。」「いや、もうその話は勘弁してくださいよ。」なんて笑いながら話すわけです。そして戦死した戦友の話なんてして懐かしがる。
考えてみれば変だよね。人間って。
でも自分を愛するというのは自分の時を愛すること。
仕事だってパートナーだって愛犬愛猫だって自分と過ごした大事な不可分な時間なんです。
よそのお宅の利口で由緒正しいワンコよりうちのアホなミックス犬がいとおしいのは何故?
そのワンコがあなたと共に生きてきた2度と帰らない「時」を、その記憶をあなたが愛するからですね。
そうです。それがあなたそのものだからです。ほかに貴方はありません。
逆に言えば時間を愛せるような生き方をすれば幸せです。我々は時間というフィルムの上以外どこにも存在しません。
それをリセットばかりしていたら何も愛せない。
だから基本的にこれを愛せれば幸せ。愛せないと不幸です。
勿論、嫌なこと、辛い事、悲しい事だって人生にはたくさんあります。
でも基本的に人間は自分の歩んできた時間を愛するような頭になっている。嫌なことは忘れて人生を良いように思う。もう今では関係なくなった嫌なことは懐かしくさえ思う。
実はこういうおめでたい構造の変な頭脳だからこそ我々は生きていけるんですね。NLPでは「過去は創造と記憶のモザイク」という言葉があります。そういう意味ではホントの真実なんてどうでもいいいのです。
だから新たな年の始めは「おめでとうさん」です。
我々はだれでも時の旅人。
いつもこのブログを見て頂き感謝です!
来年も実りある一年をお祈り申し上げます。合掌