金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

浴油の温度

聖天浴油は古来、油の温度に秘訣があるといいます。
熱過ぎると火傷したり、ぬるいと風邪ひくとか・・・・
師匠から聞いた話では勝手に浴油したら背中が火ぶくれのようになって死んだお坊さんもいたときいています。
このお坊さんは密教僧ではなく学者で次第を手に入れてしたということらしいのですがどこの誰とか詳しい経緯は知りません。
浴油終わって風呂に入ったらあ、熱い!ということで背中を家人に見てもらったら軽く火ぶくれみたいになっていて・・・・そのうち亡くなったそうですが死因は知りません。そんなはなしがあるので聖天さんはやはり怖いと思うんでしょうね。
「たかだか金属の像に油かけてなにほどのことやある!とは思わなかったのでしょうね。
もし、そう思うならそんな無茶自体しないでしょうから。
この辺が中途半端ですね。
信じているからやるのだけど、自分の不都合な所は聞かないで無視する。
このお坊さんだって浴油がどういう手順で初めて伝法されるのか知らないわけじゃないと思うのです。
聖天様の浴油はご利益スゴイのだというとこだけしか思わない。
LABプロファイルでいう人間は聞いているようで聞こえてこない部分があるというけどそういうことですね。
御祈祷ではこういうのはマズイ。
実は無視している部分は潜在意識で怖いと思っている。
だけど目的志向が強いと聞かなかったことにして耳をスルーさせてまう。

マア、それはそのくらいにして油の温度ですが浴油を長くしていると自然と熱いぬるいはわかります。
ああ、これは熱いとか、ぬるいなとか、良く人肌の温度といったり、夏はぬるく、冬は熱めにと云ったりしているけど、そういうよりは要はそういう尊天のお気持ちを探るということが大事なのではないかと思います。
それができてくる。テレパシー。
密教でいう感応道交です。
本当はそれができることが大事。固定的に油の温度は何度くらいなんてあまり意味ないですね。
時々温度計入れてみてはどうかというような話も聞きますがナンセンスと思います。
熱い方がいい場合もあれば、ぬるい方が良い位場合もある。
早めの効験を求める祈祷はやはり熱いのが良い位と思う。
これは急がずじっくりとはリラックスできる温度が良い位…
尊天に湯加減ならぬ油加減を聴きながらするのが大切。
そんな風に思ってしております。

以前、研修生で拙寺にいた人が浴油して何とか油の温度を加減して人肌位と思ってやっていたようです。
湧かないよう注意してかなり低めでやっていたらいつも七座終わって風邪ひくという。
「じゃあ、もっとどんどん熱くしてやれ」といったらやりすぎたのか、私の頭が上気して破裂しそうに感じたことがある。降壇してきた彼にやおら「いくらなんでもそこまで熱くするやつがあるか?!」といった憶えがあります。
考えると私も浴油中で壇から降りても聖天様とまだ繋がっていたのでしょうね。そんな風に体で感じたのは・・・・。
だから思うに祈祷でも修行でもそうだけど、ある一定の時間なり期間なりががこれに提供されないといけない。
雑事と全く同じじゃいけないんですね。
全ては時間的にも空間的の結界された中で起こることなのです。
作られたフィールドが大切ということ。
その時はやっぱり彼はかなり油を熱くしてしまったそうです。

でも師匠の聖天浴油も野澤先生の毘沙門浴油もかなり基本的には油はかなり熱めにしていると聞きました。
そうでないと大勢浴油するので冬なんかは冷たくなってしまうからだそうです。うちはそこまで多くの信者さんはないけど、でも熱めでやって行って最後の方はやっぱり沸かしなおします。
そうでないとやはり油が冷たいですね。