金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

如来荒神

荒神様には三種類あります。いわゆる三宝荒神です。これはよく知られている忿怒形で三面六臂もしくは八面八臂の姿、小島荒神と言って小島の真興阿闍梨が感得した唐の帝王の姿で一面四臂像、そして如来荒神という一面六臂像です。三井寺ではまた別な伝承の荒神さんもありますが、普通はこの三つ。
私はもうだいぶ前になりますが軍荼利明王と荒神を作りました。
どちらも聖天さんに必要な仏だと思ってからですが、その時どうしても如来荒神を作ろうと思った。「どうして?」という理由はないのですが、軍荼利明王は一面ながら多臂像の忿怒相ですし、そこへもってきて荒神も忿怒ではなんかバランス悪いと思ったんですね。
そうしたらある仏具屋さんで如来荒神を置いてあった。それはだれか行者さんが頼んで作ったものでした。まあそのようなものを作っておいてあるということは考え難いから当たり前ですが。
如来荒神なんて普通は知らない方のほうが多い仏様ですからね。
それでそれと似たものを作ってもらうことにその時決めました。
で、最近ある聖天行者と小島流のお話ししてたまたま荒神さんのお話になった。
そうしたらこの方に荒神供を授けてくれたというある大徳。この方は真言宗の方で実は以前に私も教えを受けた人ですが、行者が拝むなら忿怒でない小島荒神や如来荒神の方がいいのだと聞きました。
その方は小島荒神を拝んでいる。
むろん私はそういうことは知らなかったのですが、私の場合ははじめは三宝荒神を予定していたのですが、途中からなんとなく如来荒神にしたくなったのです。
如来荒神というのはお姿的には六臂の金剛薩埵のことです。

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この写真がその時作っていただいた当院安置の如来荒神様です。別に秘仏にしていないのでお姿を載せておきます。

如来というけど菩薩的な姿。でも荒神様が成仏した姿だから如来荒神なのですね。六臂の大日如来とみるべきなのかもしれません。
荒神様は我々の煩悩の神格化。八面八臂は第八阿頼耶識の表示です。宝瓶に乗るのは愛染明王と相通じる三昧に住するからです。
台座の下の方に色のついたものが数点見えるでしょう。螺貝や宝珠なんかの宝物です。いわゆる七宝です。そこも愛染明王に同じ。
それがそっくり成仏した姿が如来荒神。ならば三宝荒神は成仏していないの?と聞かれそうですが、これは煩悩のうちに菩提を宿す姿。形としては煩悩の表現で怒りをあらわにしておりますが、内証に仏の慈悲と知恵が秘められた姿です。
荒神様は私は煩悩を鎮めるのに拝みます。
だから精神錯乱などに拝む。
この前、認知症でまだ若い人がいるのだがどうしても病院に行かない。病院に連れていこうとすると暴れて抵抗するので何とかして欲しいという話。
それで、その時は如来荒神を拝みました。こういう時は加えて「荒神鎮治法」というのをするのですが。
結果的にはこの人も無事に、病院に行ってくれたそうです。
当たり前ですが、こういうことはお任せする以外なく自分でやった感はまるきりないのです。やはり神様だと感じます。幸いそういう結果になったとしか言えない。
ただ、こういう時は寂静相の方が拝みやすい感じがいたします。
忿怒形の本尊だと余計暴れそうで怖い

小島荒神の真言は知りませんが、如来荒神には三宝荒神とは違う如来荒神の真言もあります。