金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

結界師のお話

なぜか、久高に預けておいた飯縄権現のお像が今日突然気になり、十一面護摩の時にいったん発遣し抜魂しました。
「この飯縄様がどこかへ行こうとしているのか?」
誰かこの飯縄様を祀ることになるのかな…そんな感じですがとりあえず発遣しておく。
つまり、開眼の御準備段階にだけ入れておきます。
さて午後になりました。

なんと、今日の客人はまあ言ってみれば「結界師」とでもいうべきか。
漫画みたいですけどね。
ある不思議な御縁に見込まれて畿内結界のお役を果たしていた方といいます。
その人自身は霊能者でも何でもないけどある霊能者が見込んでスカウトした。他にも何人かスカウトされた方達がいてそういうグル-プ的な活動をしていたそうです。
まあ、でも超常的知覚がないだけで、そういう霊的な強く体質はありますね。
そうでなければ結界の役には立たない。
あらかじめ紹介者から話をちょっとだけ聞いていましが、大変失礼ながらどうせ、頭に何か上っちゃったスピ系セミナー巡りの人か、オカルト本読みすぎの馬鹿の類かと思っていた。

でも一目拝見してこれは少し違う感じなというを受けたのです。
この人は見たところとても神道の色が強い。
おそらくはアメノウズメの分魂を持っているような感じ。(という表現です)
そのせいか聞いてみたら神楽舞とか踊れるそうです。
でも、もう沖縄のユタに言わすと三魂七魄のうち六魄までが失われているといいます。
これってまあ、いってみれば命が消えかかってるということなんでしょう。
密教系の私がこういうの扱えるかどうか自分でも?です。神道系のすごい術者がやればいいんだろうがそういう方は知らんので。
まあ畿内結界は王城鎮護が目的なのだろうけど、ちょっとまてよ。いまどき主上のおわさぬ京都を何故結界するのか?

これは多分、戦国時代や鎌倉時代、平安末期の戦乱の延長なんですね。霊の世界ではいまだに合戦やっている。討ち死にしたものの妄念です。
それをその代表格の人物はモロに受け取ってしまって、これは都を結界をしないといけない!大変だと考えたのでしょう。本人にとってはこれは断じて私欲ではなく天下国家の大事なんですね。きっと。
それが証拠に今日こられた本人の体には霊的な矢がいっぱいささっている。
死んだ人もいるらしい。
それでこのひとはもう重病の末期だそうです。
人をもって結界とする。ならば死するはもとより承知なのか?
こういうやり方は密教には基本にない。
金光明最勝王経の大弁才天女品に身を厳かに飾った童子を四人を壇の四方に立たしめるとありますが、そんなものくらいですかね。
或いは鬼神を使うとか言うのは儀軌にあります。
この結界の考えは御嶽教の御座立ての四天の役のようなものだけどスケールがまるで違う。
わざわざ霊の世界で合戦したんですね。しなくていいものを。
罪なことをするものだな…と思いました。
人体結界を組めば人の体が盾になるわけです。矢が刺さるのは当然です。
このひとが結界を担当したところはよく知っていますが、一代の梟雄がいて城を枕に壮烈な討ち死にをしました。

霊能者というのは判断一つ誤ると周囲を巻き込むので実は罪障が深い事が多いのです。
だから仏教では古来どんな神通力があろうが法のうちでしか許さない。

「あなたはしないでいい戦争に志願兵で行ったんですよ。」といってあげました。
なんでもそういう人が何人かいてその人の先輩格は皆亡くなられたそうです。討ち死にです。怖いことです。
そこへもってきて霊能者からこの人は白羽の矢を立てられた。
拒否すりゃいいのに催眠のように従ったのだそうです。
私のようなものにはそんなのどうにもなりません。

でもこの人は「夢の中で鳥の顔をした人のようなものがものすごい炎の中に現れたのです。背中にはそれは大きな翼がありました。そばにお不動様もいたんです。」
それで同行された紹介者は「それは飯縄さんでは?」ということで連れてこられた。
この方は高名な占術家です。連れてこられたのは実は古いお弟子さんだそうです。
多分、飯縄様です。そうでしょう。
この話がなければ私は「無理です。」といって帰ってもらいました。
こんなの只の凡夫である私にどうにかできるなんてありえませんから。
とにかく、もう今週死んでもおかしくないくらい悪いらしいが、不思議とあまり痛みを感じないというのでうちまで来られた。
でも私にはできなくても…もしかして飯縄様にはできるかも…と思うので、まあ、病状もそこまで悪いというなら、すぐに講員にならないでもいいのでとにかく一遍拝みましょう。…それでそれから講員になるとか、ならないか、そういうことは家で考えたり、相談したらいいということで拝ませていただいた。
それで五体加持をしました。
「アラ、なんか軽くなりました。…気のせいかしら…ア、変なこと言ってすみません。」と言われましたが「いやいや、きっと気のせいです」と私。
そのあとお帰りになりました。
さてはて朝、抜魂した飯縄さんはこの人に何かかかわるのかしら?
それとも全く何も関係ないのか?
わかりませんが…結界師。いるもんですね。
そのほかここでは決して口にできないような霊的家系の話もでました。
オカルト馬鹿的で恐縮ですが…人知れぬ霊的な役目を担う人々、影の術者はいるものなのですね。
不思議な一日でした。