金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

「インチキ聖天行者」のお話


今日、他宗のご僧侶から「〇〇というインチキ聖天行者がいますので、ご注意ください。」という情報を頂きました。

どうインチキなのか聞いたら、なんでも有名聖天寺院に行って信者に潜り込んであれこれ勧誘するそうなんです。
「フ~ン・・・それでも一応、その人は行者なんじゃないの?」ってきいたらどうもそうじゃないらしい。
通報者のお話ではちゃんと聖天供している訳じゃないという。
信者の取り合い自体はよくある話ですからそれ自体はインチキとは言えないですが・・・。

インチキというなら、ありもしない宗派を急場拵えで名乗ってやっている人とかは世の中にいるようですけど。
もっとも宗派名乗るのは勝手なんで、実際はこれもインチキとまでは言えない。
実際に自分が所属していない宗派名乗るのは、これは明確にインチキですね。経歴詐称です。
でも宗派や教団名はどうつけようと聖天供なんての密教で嫡嫡相承のものですから天台系か真言系どこかの宗派で密教修行しない限りできるわけない。

じゃあその習った宗派の籍は一体どうなってしまったんでしょうね?
もっとも、まあ、個人的に誰かから習ったと言えばそれまでか。・・・あるいは直接、自分に聖天さまが降臨して教えてくれたとか・・・そこまでいけばなんでもありです。要はそれを信じる人見つければいいんだものね。
後は野となれ山となれ。

でも伝統的にはインチキといやあ、まあインチキかもしれないけど、それも法律違反じゃあないわね。実は名刺に私的レベルで大阿闍梨だろうが、御門跡だろうが、○○宗管長だろうが何書いても法律的には自由なんですから。ここは注意のしどころです。
政教分離ですから法律にそういう規定はないんです。既成の宗派の規則にはあるけど。
逆に既成のバックボーンがきちんとある人は誤ってもそんなの書かない。
勝手なウソ書くと所属宗派のお咎めがあるしね。
だから寺もなしに管長を名乗っても法的にはいいんだけどあとは常識の問題。

だからそういうレヴェルはもう別世界。いわゆる新宗教やね。
でもそういうところにはそういうとこ向きの信者さんがいるんだね。それで出発して大きくなる教団だってあるから。悪いこととまでは言わない。それはそれ。
まあ、そういうのも含めて世の中には色々なのがあるようですな。

 さて、「うちはまあ、有名寺院でもなければ、もともと少数の講員さんしかいないんで一般の人は聖天様の祈祷には入れないから心配ないです。ありがとう。」といっておきました。

別に信者の取り合いならとられたって全然平気です。
別にやめたい人やよそがいい人はとられなくったて、いつでもよそに行ってもらってます。
私引き止めないんで。
むしろ俄かにおいしいご利益話ですぐ揺らぐような人は早くいなくなってほしい。
邪魔臭いので。

引き止めないですけど、そのかわり「すみません。また、なんかあったらよろしくね。」はお断りです。以後の出入りも当然お断り。
ヤだね。そういう軽いの嫌いなので。しかも、私ヘソはかなり曲がっている方ですから。辞めるのはいいから、しっかりやめてよと言いたい。

だけど辞めるのも理由によるよね。
かなり前だけど、夏と年末に二回あるお祭りの御札に付き合うのがお金が出るのが嫌なのでという理由で講をやめた人もいました。
「あ、そうですか。はい、わかりました。」で辞める人にはいつもそう言っています。
それで頭からは即削除。思いは残さない主義。
辞めた人のことまで後々、心配するほど暇じゃない。そこは完全にドライです。
なぜなら私の認識では信者さんは本尊様の信者さんと思っているからです。
私はただその手伝いをしているだけ。
本尊様の配下である私が本尊と縁切れた人には基本的にもうかかわる必要は全くないと考えています。

なかには辞めた後まで盆暮れの挨拶してくださる方もいるけど、そんなのまったく必要ないし、頂いてうれしいとは思わないですね。
礼状出そうにも言うべき言葉もないですから。
せいぜい「もう御縁が尽きていますので、今後は一切このようなご心配は無用にお願い致します。」と書くくらいが関の山です。
まあ、年賀状くらいは下されば書くけど、勿論こちらからは出しません。
別に怒っている訳じゃない。どっちつかずがメンドーで嫌いなだけ。
一体どう接していいのかわかりませんので。

そうしたら辞められたその方から、しばらくたって「最近、なんかお経みたいな変な音が耳元に聞こえてくるんです?」という電話もらった。
もともと幻覚なんかがよくある人なんですね。この方。
けど「ああ、そうですか・・・。で、それが何か?」でおしまい。
それでも何度もそれを言ってくるので「もう、あなたはやめられたのですから、うちとは関係ないでしょう。」といったら、信徒総代を介して「もう一度何とかしてくれ」と言ってきたらしい。
でも総代さんも取り次ぐ気はゼロだという話。
私もそれで全くOKです。
こういうタイプの人ってまた入れてあげたところで、後になって「変な音はやんだけど、これって辞めたからきっと呪ってたんだ」とか、「引き留めようとして術かけていたに違いない」なんて言いだしかねないので、辞めたら完全に「出入り禁止」がベストです。
同時によその宗教辞めたのでそこから呪われているという人もお断りです。大体、同じような頭脳構造の人種なので。

まあ、うちはあんまりいないですけどね。
来る人も、辞める人も。絶対数が少ないから。
長い人は10年来なんて短いほうです。信者の多い少ないより、長く信仰してくれている方がいるのはやはり何より有難いことですね。
良くも悪くも少数で細々やっている零細寺院です。(笑)