密教文化はいろいろなものに飛び火しました。
神道の大事な部分である和歌にも「和歌灌頂」があります。この本は文化四年19世紀初頭の化政文化時代のもの。この手の文献では比較的新しい。いにしえびとの風雅を好む室町時代と違ってこういうことももうあまり行われなくなった時代の伝書です。
いわば和歌の世界を密教的に解釈し和歌の秘奥として伝えたもの。
たとえば和歌のかたちが三十一文字に定まったのは住所不定だったスサノオノミコトが八岐大蛇を退治してクシナダヒメと出雲に住みかを定めるようになってそのために定められたという話。
そもそも三十一文字は如来の三十二相を表す。32には一個足らないけどそのこころも数えて32だそうです。
5・7・5の構成は五行・天神七代・地神五代の表示とか・・・
この本は天台系のようで密教に加え法華経の解釈も入っている。
なかなか面白い。和歌は呪術の一種でもあります。