玄狐さんから十種神宝のつづきが語られました。
「ひとふたみよいつむななやここのたり」というのはとくさのかんたからをかぞえるといふことなり。
おのが内に十のこころはたらきのあるをかぞえるなり。
十の心はたらきありしときはまがかみもまがことなさず、
ゆえになんじこころにつねにとくさのかんたからをおけ。「もも、ち、よろず」 といふときは十人、百人、千人のくさぐさのひとのこころにもまたとくさのかんたからあるをみるべし。ゆえにこれに続けてふるべゆらゆらとふるべとは言うなり。
これがおおなほしにみなほすということなるぞ。
もとよりもみはそのままにかんのくら
たまもかがみも満てるうれしさ」
と言っておあがりになりました。
玄狐とは聞かない名だなと思ったら
「我はヤタノオオガラスの眷属なり」と言われてたちまち大きなカラスの姿になって飛び去って行きました。