金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

秋冬のカゼの漢方薬選択ポイント  松江堂薬局のブログ

 

 

カゼは初期の対応が適切であれば早く治りのですが、こじらせると厄介ですね。

カゼ関連の漢方薬について僕なりに解説しますが、多分 他とは違うかもしれません。

[体力普通]
カゼの初期:悪寒発熱が出てきます。人によると発熱や喉の腫れが辛く、また人によると寒気や頭痛が辛く感じます。あなたのカゼはどのタイプ? なんて巷では分類しています。

カゼは上気道にウイルスが感染して起こる炎症です。故に炎症がおさまる漢方薬を選択します。銀翹散があります。

寒気が辛い場合には温める傷寒論の葛根湯を使うと言いますが、肌表の部位で邪は寒から熱に変化します。この変化は速いです。だから最初から銀翹散でいいです。

逆に言えば江戸時代には炎症をとる銀翹散はなかったので、発熱があるカゼにも温める葛根湯を使っていたでしょう。でも治っていました。

結局は初期ならどっちでもいいんです。

今の中医をやっている人は、温める葛根湯、冷ます銀翹散と分類してみせて「ツカミはOK」だと思っていますが、温と涼は熱と寒とは程度が違います。体に対して影響はあまりありません。初期ではどっちでもいいです。ただカゼが空気中のウイルスによるものだと考えれば清熱解毒作用のある薬物の入った銀翹散のほうがいいです。

また葛根湯は麻黄、桂枝が入っていて血圧が上がったり出血したりする副作用があります。唐代からはあまり使われていません。

葛根湯は温めて汗をかかせて治す処方なので、アセトアミノフェンのような解熱薬と一緒になっているかぜ薬は邪道としか言いようがありません。

体力がある人のカゼには葛根湯、虚弱な人には桂枝湯と理解している人は虚実を理解していません。この2つの処方の区別は汗が出ていないか出ているかで、体力があるかないかではありません。

[体力が弱い人のカゼ]
寒気が出てきた人で注意するのがもともと冷え性かどうか。腰や背中が異常に冷えます。麻黄細辛附子湯、真附湯を使い腰(腎)を温めて治します。(陽虚感冒)

虚弱でしょっちゅうカゼをひいてしまう人。抵抗力を上げながら治します。参蘇飲を使います。(気虚感冒)

カゼは六邪の中の風邪(ふうじゃ)により引き起こされ、症状は時間とともに変化していきます。だから上記のかぜ薬を何日も使うということはないです。体の病態変化により対応を変えていきます。