久しぶりに風狐さんが見えた。
風狐さんは梓霊狐より広範囲の世界を行き来するので物知りだ。
そこで聞いてみた。怨霊というものがある。
殺された人の恨みの念です・
「殺されても魂というか存在は輪廻していくのでしょう。輪廻した先でも恨みは残るものでしょうか?」
風狐「怨霊という奴はいわゆる心の残り香だ。実態はすでにないが強烈な念が残る。
むろんそれを残したものの業の一部であるが、輪廻した先では記憶自体はないことが多いだろう。」
「ではこの世に残した怨念はただ録音テープやビデオ映像のようなもの?放っておいていい?」
「それは違う。これらは人間の心識に相関する。
例えば怨霊が出る場所でも猫や犬には相関する心が少ないから影響は少ない。
例えば金銭や色恋のもつれで殺されたとしよう。
イヌやネコや小鳥や虫にそれは理解できない。獣もサカリが付けば争うが殺しはしない。
ヒトであればその恨む理由が同じヒトとしてわかる故にその恨みをくみ取ってしまうのだ。そこがよくない。
だから相対的なものだ。一方的ではない。
誰もいない家に幽霊は出ない。それを感じるものがいて初めてかたちになるのだ。
故に霊を供養すれば必ず自らの心を供養することと同じだ。」
「では恨みの心の少ないものは怨霊に影響されにくいのですか?」
「しかり、心が澄み切っておれば怨霊の影響は受けにくい。故に霊を扱うものはその修行が肝要じゃ。」