この小さな仏像はおそらく元は胎蔵界大日如来ですが…宝冠もなく髷も取れていたし、お顔も優しいので「獅子冠」をかぶせて仏眼仏母様にしてみました。
獅子がちょこっと金色すぎてまるで「角兵衛獅子」の子供みたいだけどね。(笑)
まあ、いいや。
まあ実際胎蔵界大日の変化とも言いますから胎蔵界大日の応用でもいいのではないかしら?
この仏眼仏母は密教では大変重要な仏様なのにほとんど祀られていないのが不思議な存在です。
平安末期の高僧・明恵高弁上人は大変に深く仏眼仏母尊を信仰されました。
明恵上人は大変正直な方で、実は世俗の男性同様に女人が恋しく近づきたいと思っていたと述懐されています。
恋多き方で女性のみならず、男性にも、海に浮かぶ島にも恋して、島にラブレターを書いたと言います。
ですがそうした明恵上人の気持ちとは逆に生涯不思議な力で阻まれてついにそうした恋の縁は得られなかったと言われています。
そんな上人が熱烈に信仰したのが仏眼仏母尊。
たぶん、彼にとっては仏眼様は信仰対象であると同時に母でもあり憧れの女性でもあったのでしょう。
心理学の分析派では男性にとっての最初の異性は母なのだと言います。
もしそうなら、男性のひかれる女性とは表面上はまるで似ていなくても母の片鱗をどこかに宿したと感じる存在なのかもしれませんね。
なお天台流の尊像では本当は獅子の冠は冠らないそうです。