金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

我が母とお金の教え

その昔、三十八歳の年に今の場所に引っ越してきた当時のこと。

うかつに土地の取得と建物の建築年度を一緒と思って書類をだしたら違っていると当局より指摘されて消却される額三年分を返すように言われた。

額にして百万円ほど。

恥ずかしいことであるが当時は引っ越してきたばかりですでに頭金で預金も使いはたし、その上築二十年以上たっていて多くの部屋で畳や床が落ちたりしていてリフォームしないとならず、お金の余裕は全くなかった。

そこで同居の母に「なんとか貸してもらいたい」と頼んだ。

額を聞いて「そのくらいなら貸してやろう」ということになったが、話はそこで終わらなかった。

「だがお前、百万円くらいは預金はあるのだろうな?」というので「あれば貸してくれとは言わない」というと話は一転した。

「バカモノ❗預金もないものに金などかすものがどこの世界にあるか。貸せるか」と一喝されて話はなくなった。

わたしの母は事業家でもあり画家であり実に色々な仕事をしてきた。バンガロー経営からナイトクラブ、画廊となんでもやった。そんな母からみて四十近くにもなって母に頼ろうという私は大変なアマチャンに見えたに違いない。

 

その後、恥を忍び事情を話して阿玉をさげ日頃懇意にさせて頂いている方にお借りできたのでなんとかなった。60万だけ借りてあとは私物を売り払うとなんとかなるかもしれないと決めていたがそれ以上にむこうから貸してくれた。

 

そのときは他人でさえ助けてくれたのにと母を恨んだが、後年この体験がわたしの甘ったれた金銭感覚を叩きなおしてくれたためお金というものに対する意識を大きく変えることができた。

いまでは故人であるが深く感謝している。