金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

准胝仏母

ひさしぶりに晴れた一日です。
昨日は久しぶりに准胝仏母様の修法を致しました。
准胝観音と云う方が通りがいいでしょうが天台方や真言宗の広沢方ではこれは仏母であって如来に準じるお方と云うことになっています。
つまり蓮華部でなく仏部の仏なのです。
古来、安産、求子、延命、滅罪などが主な目的として拝まれてきましたが、実は息災、増益、敬愛、調伏と幅広いご利益があります。
インド最強の女神ドゥルガーがもとになってできたという説がありますが私はどうも違うように感じます。ドゥルガーの様な強烈で派手な感じは准胝様からはあまり受けません。

私の拝んでいる次第は不空三蔵の儀軌によってたてられているようですが、この准胝仏母の讃と云うのがやたら長くて馴れないうちは閉口しました。(仏讃で代用もできるらしいけど)実はこの讃の中にアバロキティと云う言葉が出てきます。これは観音さまの梵名です。
准胝は観音だという論拠の一つはここから来ているようです。でも、観音にあるはずの頂上に化仏がみられない、また胎蔵曼荼羅では観音院でなく遍智院にいる等々の理由で観音に非ずと云う主張もあるのです。
准胝様は我が国以上に中国で大変人気があったようです。
台湾などでは今でも大人気の仏様です。

儀軌では90万遍と念誦すると無間罪のような極悪の業ものぞくと言います。
また、法が成就すると夢の中でなんか黒いものを吐くのだそうです。
御祈祷では延命に大変御力がいただけるという感じです。
天台では延命の祈願と云えば「普賢延命」ですが、私は「准胝仏母」をよく拝んでおります。
私の師匠は普賢延命真言をよく唱え、「金剛寿命陀羅尼経」がお寺の経本にも載っていました。何に出ているのか知りませんが、なんでも大自在天降三世明王に踏み殺されたとき蘇生させたとかと云う逸話があるそうです。
だから聖天信仰では縁の深い仏だそうです。
延命祈願については師から「人間はどこまで行っても死にたくない存在だ。しかし、延命祈願も、もう定業の寿命がつきて、ただ生きていてもらいたいというだけの祈願では業を作る。そういう延命には理由がないといけない。」と教えられたものです。

私も普段は本尊供のなかでそういうご祈願のための真言を加えるのみですが,たまには個別で拝みたい方です。
お次第では求子や安産には訶梨帝母、延命には閻魔天真言も加えられます。眷属としてはほかに八大菩薩、難陀跋難陀の兄弟竜王が知られます。