金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

ローマ教皇のキューバ訪問を喜ぶ

ローマ教皇フランシスコ聖下キューバに行かれてアメリカとキューバの関係改善を促されたという報道を聞きました。
キューバはご存じのとおり社会主義国で、かなり昔ですがソビエトが後押ししてミサイル基地を作らせようとしたことから、喉元に刃を当てられた形の隣国アメリカが激怒、核攻撃も辞さぬ構えであわや第三次世界大戦の引き金かと全世界が緊張を極めた経緯もあります。
しかし、今年、国交回復しました。
大変めでたいことです。
第三国同士のことですが私は心からうれしく思います。
無論、キューバは宗旨替えしたわけでなく社会主義国のままですが,それでも宗教絶対否定派の前議長までもが教皇と握手し、現議長も教皇のこのたびの仲介的な訪問を「有難く想う。」というコメントを出しています。
さらにはカストロ現議長も出席してのミサも執り行われたとのことです。
国民も手に手に国旗を振って熱烈に教皇を歓迎したもよう。
これらは画像で見て明白です。
私はカソリックでもクリスチャンでもありませんが思うにこれこそが宗教の力というものです。
そして真の宗教者の働きだと思います。
宗教は単なるイデオロギーではなく、信仰という特別なものが存在します。
それは生死を越えて持ち続けるべき価値感です。
現代の日本の仏教には理屈だけで信仰がありません。
死んだらそれまでと云う「断見外道」の類であり、その根底は唯物論です。
だから偉い仏教者がひととおり難しい話はできても手が合わさらないのです。
たとえ納得を導くことはあってもそこに「有難さ」は何もないのです。
それでは宗教の本当の力は何も出ません。
残念ですが日本の僧侶にはこういうことを期待してもまず難しいでしょう。
思想では相戦う関係でも信仰ではその壁も超えられるのです。
だからこそ中国政府はイスラム教徒のウイグル族仏教徒チベット族を警戒して厳しく弾圧するのでしょう。
要するに宗教が怖いのです。
中国共産党では宗教はアヘンと云うそうですが、かくいう共産主義思想こそいかなる宗教よりもはるかに猛毒の麻薬です。
チベットのお寺に行けば法要がありますが、それは外国人向けのショ―、つまり見世物です。
そこに真に有難いものなどは何もありません。
キューバもかって宗教を弾圧し、クリスチャンなどを投獄していました。
そういう点では同じ社会主義の中国とそう変わらない過去を持っています。
しかし、今回キューバは敢えて宗教を受け入れました。
キューバが今後もながく社会主義国家であり続けたとしても、さらに両国の関係が良くなることを祈って止むものではありません。