金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

鬱病の鬱な話

お浴油結願です。
心なしかようやく空も明るくなってきました。でも今日は朝ネットの天気予報見たら降雨率60パーセントだから油断できません。
しかしこのわずかな間を利用してお洗濯しないとならないのです。
やること一杯ですが天気が悪いと兎角憂欝ですね。
だからどんよりした天気は大嫌い。冬が大嫌いなのも一つにはそのせいです。
今後生まれるときは南洋の国がいいな。明るくて。
とにかく青空が好き。夜なら星空。
南洋の青空ってなんであんなに色が濃いのでしょう。

この間、精神科のお医者様で修験をされている方が「修儀」を受けに来ました。
修儀というのは宇賀神さまの秘法です。「最勝護国宇賀耶頓得如意宝珠王修儀」というのが正式な名前。
祭文よんでいくのだけど色々ややこしい作法満載で、いかにも中世的なマジカルの秘法なんですけど、以前お授けして漏れていたことがありましてわざわざ来ていただきました。

閑談でたまたま鬱病の話になりました。
以前訊いたところでは秋田県は日本一鬱病患者が多いらしい。それは天気がよくないせいもあるみたいです。
雨が多いというより晴れが少ないのでしょう。
太陽を浴びないと人間はダメになります。元来昼行性の動物ですから。
だから察するに夜の商売なんて儲けがあっても長くやらない方が体にゃいいでしょう。
朝まで飲み屋で営業して毎日、朝日浴びて帰っていますって人もいるでしょうけどね。

実際、鬱病は毎朝早く起きて日の出拝むとよくなるそうです。
エネルギー出てきます。
修験道の「日天拝見の大事」
此れやると神通力出ると亡き師匠から聞きました。
朝早く起きて日天拝んで歯をたたきます。
太陽のパワーは偉大です。何と云っても自然界の大日さんですから。

鬱病は昔は憂鬱なことはないのに何となく鬱というのが普通。つまり憂鬱な理由もないのに憂鬱な状態と言うのが鬱病でしたが最近はそうではなく、会社で怒られて鬱とか、彼女にふられて鬱とか・・・そういうのもありだそうです。
中にゃ酷いブラックな会社もあるだろうけど、お話を伺っていると逆にちょっとでも叱ったらもう翌日から会社に来なくなって、次には診断書と損害賠償請求が来るなんてことありそうです。企業もビクビクものですな。

終いには宗教の修行もそうなるかも知れません。
本山で修行してできついこと言われて自分は鬱になった。どうしてくれるんだとか。そんなアホなというなかれ。
そういうのも医者の診断書一枚ですからあり得ます。
そうなると「皆様どうぞお健やかに御修行あそばしますよう」なんてことになって修行も常にニコニコ顏で指導しないということになるのかも。

私らの頃の修行からはそんなの全く考えられません。
怒鳴られる。蹴っ飛ばされる。殴られるは当たり前。そんなことがいいとは決して思いませんけど厳しさはやはり必要では・・・?
とりわけ禅宗なんてどうするんだろう。昔から棒と喝が御馳走の御家柄なのに。

暴力は無用と思うけど、修行はゴシゴシと自らを砥石にかけ鍛えることです。だからやりたい人だけがやること。
嫌々やるならやる意味ないです。
つらいことも先に希望があればこそ歯を食いしばって凌げます。
私は26歳で独立するまでは不安な中をひたすらただ泳ぐのみで心から笑ったことは一度もありませんでした。
でも希望があったから先に進めた。
今日の社会人は決してヤワなのでなく、おそらくは「希望」が見えないのでしょう。
希望がないと人は折れます。
人生そのものが行き場が判らないのに土砂降りのなかさまようようなものになってしまうのだから。
希望がないというより、何をどう望んだらいいのかが判らない・・・そんな世の中になってきているような気がします。
この話、憂鬱ですよね。