金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

大東流の思い出


今から15年ほど前、

金翅鳥院に大東流合気柔術の師範の方を招き、
羽田住職以下、お弟子や信徒さん等多い時期で10数名はいたのではないでしょうか。
お堂の外陣で皆大東流の稽古に大暴れでありました。
当初は金翅鳥院関係者だけでの稽古でしたが、しばらくすると外部から稽古に参加する方々も来る様になりました。

その中にTさんと言う人がいました。
このTさんは、稽古日以外でも夕方になってからふらっとやって来て、それから羽田住職と私とTさんの
三人で稽古し深夜に及ぶことも度々でありました。

そんなある日に現れたTさんは大分やつれた様子で、美容師を失業し兄上のアパートで同居していたそうなのですが、
その兄上が遠方へ出張し、失業しているTさんは満足な食事も出来ず生活が困難になったとの事で、
しばらくの間、金翅鳥院で一緒に生活する事になった。

程なくして、Tさんは日中は飲食店でアルバイトをするようになりました。
この人はちょっと良い意味でも悪い意味でもぬけていると言うのか、

お寺の動物達の世話においても、当時良く遠出をしてしまうハチと言う名の猫がいたのですが、このハチの首輪に紐を付けて庭の木に縛ってくれと言えば、身動きが取れないほどに縛り付けたり、

夕飯にすき焼きをすれば肉だけを食べると言う傍若無人ぶりを見せたかとおもえば、
アルバイト先の店を一週間でクビになった際には、その事実を言い出せず日中は公園で夕方まで
時間を潰すセオリーに忠実な男でもありました。

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これが話のハチです。



しかし、このTさんには学ぶ所がありました。

なかなか壮絶な人生を生きてきた人なのですが、陰りや暗さの無い人でした。

とにかく良く笑う人でありました。

大東流の稽古でも技を掛けられれば笑い、自分の技が掛からなくても笑う。

他人が聞けば涙するような悲惨な過去の話をしても笑うし、人から笑われても一緒に笑う。

「笑う」と言う事の重要性を示した人でした。

(そう・・どうしていますかね。Tさん。元気でいるといいですね。)