金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

義理は返せても恩は返せない

よく恩返しということを聞きますが、本当は返しても返しきれないのが「恩」というものです。
仏教では四恩といいますね。
父母の恩、一切衆生の恩、国王の恩、三宝の恩です。
父母というのは育ててくれた人ですから当然恩があります。
父母でなくても育ててくれれば同じです。
育ててくれなくても命というギフトがあるのは父母がなくてはあり得ませんね。
一切衆生というのは世間や社会の恩、皆様があって自分がある。
世の中が無法状態ではないから、安心して暮らせる。これは社会の恩。
それ以外にも我々が食べている動植物の恩もあります。
自然界の恩です。
これが一切衆生の恩。衆生は人間だけじゃないからね。
国王の恩というのは前時代的に思うかもしれませんがこの国の社会を開いた方。国の礎を作られた。我が国でいえば神武天皇ですね。
ですから社会の恩は空間的には一切衆生の恩に入り、時代的には国王の恩です。偉大なる先人たちの恩です。
お釈迦様の時代は国王が仏教に理解がなければ布教できなかったのでそういう意味の恩もあったと思うけど。
三宝の恩は仏法僧、教えをとかれている如来とその教え、そしてそれを教え導く人。もろもろの大菩薩はこの僧に入ります。
仏教徒ならこの四恩を思わないとならない。
これらの恩は返せない。だから返恩とは言わない。
いうならば報恩です。
常に思い、大切に考えること。
返せるのは恩ではなく義理です。恩というのは返せません。
だからその思いを一生もっていく。
恩に思うとはそういうこと。
だから恩人とはそういう人を言うのです。
 恩は返せると思っている人は心の浅い人です